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〈実機テスト〉脚用EMS運動器「もてケアFoot」を試してみた

EMS(Electrical Muscle Simulation)とは、電気で筋肉を自動的に動かし、筋肉を鍛えるマシンのこと。SIXPADのヒットで腹筋を鍛える器械というイメージが強いかもしれないが、実は脚用EMS運動器も各社から発売されている。この脚用EMS運動器のメリットは、ランニングやウォーキングをせずに足の筋肉を鍛えられるということ。つまり、何らかの事情で運動ができない場合でも筋肉量を落とさずに保つことが可能なわけだ。とくに心臓などに不安があり、日常的に運動ができない高齢者にとっては、必要不可欠な道具となるかもしれない可能性を秘めているかもしれない。なぜなら、動くことがままならない高齢者は「寝たきり」「認知症」というその先の問題が待ち構えているからだ。そこで今回は、脚用EMS運動器のひとつであるマクセルの「もてケアFoot」を記者の83歳の実父に体験してもらった。

被験者に実父を選んだ理由は、この2年間で心臓の手術を2回受け、体力が落ちてしまったから。それまでは日々の散歩を欠かさず、年齢のわりに元気だったのだが、心臓に疾患が現れた頃から急激に体力が落ち、手術後は杖がなければ歩くのもままならなくなってしまった。結果、外に出るのは病院に行く時だけになり、日を追うごとに老け込んでいくのが目に見えて感じられるほどだった。そんな状態の父の体力が、脚用EMS運動器を使用することでどの程度改善されるのかを検証するのが今回の目的だ。

父の後ろ姿(2021年11月4日撮影)。杖がなければ外出もままならない状態だ。

実機を入手し、さて筋肉量を増やす工程をスタートさせようかとしたところで、ひとつ問題が。「もてケアFoot」をはじめ、EMS運動器には体内の筋肉量などを計測する機能は基本的に持ち合わせていないのだ。もちろん、被験者本人は「歩くのが楽になった」といった感じでなんとなくわかる部分はあるかもしれないが、周りの人間には果たして効果が出ているのかどうかはわからない。そこでその問題を補うために、スマホひとつで誰でも簡単に自身の身体を知ることができるアプリ「Bodygram」を使用することに。この「Bodygram」は、身長・体重・性別・年齢の入力と正面・側面の写真を撮影することで全身24ヶ所、体脂肪率、骨格筋量の推定計測と姿勢の分析が可能な優れもの。そしてなんといっても、こんなに便利なのに“無料”というのが導入の決め手になった。

シンプルスマホにBodygramをインストール(上から二番目の左端)。

かくして昨年11月4日、「もてケアFoot」を実家に持ち込み、父のスマホ(高齢者向けのシンプルスマホ)に「Bodygram」をインストールして検証を開始。本来なら毎日「Bodygram」で計測してほしいところだが、やはりスマホを使い慣れていない父には無理なので、私が自宅を訪れた際に計測するという形で妥協せざるを得ないが、その代わり「もてケアFoot」は毎日使用すると約束してくれたのでひと安心。やはり父自身も、筋力が落ちて歩けなくなるのが嫌なようだ。コロナ禍ということもあり、思うように実家を訪れることはできなかったが、開始日から4月2日までの5カ月間、計9回の骨格筋量の推移が下のグラフだ。

骨格筋量の推移(「Bodygram」より)

途中二度ほど数値が落ちている箇所があるが、これは下痢が原因で一時的に体力が落ちていた時と期間が合致するので、「もてケアFoot」の効果とは別問題と考えることにする。ちなみ下は「Bodygram」のホーム画面で、昨年11月4日のスタート時に26.4kgだった骨格筋量が、4月2日時点では27.2kgになっていることがわかる。当初の目標だった30.4kgまでの道のりはまだまだだが、まったく運動も歩くこともせずに5カ月間で目標の21%まで達成できたことには、正直驚いた。

「Bodygram」のホーム画面

またホーム画面を下にスクロールすると、体組成や姿勢分析、ボディーパーツのサイズまで詳しく表示される。

体組成、姿勢分析(「Bodygram」ホーム画面より)

ボディーパーツ(「Bodygram」ホーム画面より)

どうしてスマホひとつでこんなに詳細なデータが取れるのか不思議だが、筋肉量の数値が増え出した時期とリンクして、興味深いエピソードがあった。それは父が「もてケアFoot」を使い始めて4カ月になろうかという1月28日のこと。欠けた歯の治療のために、母に連れられていつものように杖を持って近所の歯医者さんへ向かった父だが、治療が終わって帰宅して杖を傘立てに入れようとした母が「お父さん、杖は?」。「……歯医者に忘れた」。なんと、杖がなければ外出できなかった父が、杖の存在を忘れて普通に歩いて帰ってきたのだ。これには驚いた。そして同時に、「もてケアFoot」をやっておいてよかったと心底感じた。もちろん、誰もが同じ効果が見込めるとは思えないが、こと父に関しては他に原因が見当たらないので、素直にその効果を認めるしかなさそうだ。

もてケアFoot

もてケアFoot 概要
型番/MXES-FR230LBK

本体
電極数/2極
外形寸法/幅360mm×高さ340mm×厚み22mm(コントローラー含む・突起部除く)
質量/約150g(コントローラー含む)

コントローラー
電源/リチウムイオン充電池 3.7V 120mAh
リモコン

外形寸法/幅37mm×高さ70mm×厚み11mm(突起部除く)
質量/約14g(電池除く)
電源/コイン形リチウム電池(CR2032)
送信周波数 /315MHz
送信距離/約3m(見通し距離)

電源アダプター
入力/AC100-240V 50/60Hz
出力/DC5V/最大1A
充電時間/約2.5時間
連続動作時間/約10分

同梱品
収納ポーチ×1
リモコン×1
電源アダプター×1
充電用ケーブル(約50cm)×1
取扱説明書(保証書付)
かんたんガイド
CR2032(お試し用電池)×1

maxell.jp/consumer/mxes-fr230.html
Bodygram
bodygram.com/ja

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