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世界を変える日本の頭脳が秋葉原に集結! 「未踏会議 2024 MEET DAY」開催

「天才が天才を育てる」という発想のもとにIT人材を発掘・育成する未踏事業。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するこの事業は、経済産業省も強力にバックアップする国を挙げた一大プロジェクトだ。その目的は才能のあるIT人材を大きく伸ばすこと。採択者は超一流のプロジェクトマネージャーから直接指導を受けられ、開発した成果物の知的財産権は自身に帰属するという夢のようなもので、修了生はすでに2,000人を超え、その多くが第一線で活躍しているという。

そんな未踏事業が主催する年に一回の一大イベント「未踏会議」が今年も開催された。会場のベルサール秋葉原には、これからの世界を変えていく大きな可能性を秘めた頭脳が一堂に介し、50以上の展示ブースで研究成果を披露。ひと口に「IT」といっても、その応用用途は様々で、エスプレッソマシンや古着発見アプリ、グッズ交換アプリといった親しみやすいものから、超伝導量子コンピュータまで幅広い研究成果が展示された。

主催者挨拶をする独立行政法人情報処理推進機構(IPA)理事長の齊藤 裕氏。

齋藤 健 経済産業大臣からはビデオメッセージが届いた。

「未踏事業の力」をテーマに基調講演を行なった東京大学 名誉教授 未踏事業 統括プロジェクトマネージャーの竹内郁雄氏。

展示会場のスペシャルレポーターは、ソフトウェアエンジニアとしても活動するタレントの池澤あやかさん。

エスプレッソマシン自動制御ソフト”Connoisseur.”

2023年度未踏(担当プロジェクトマネージャー:落合陽一氏)で開発した、エスプレッソマシン自動制御ソフト”Connoisseur.”。精密温度制御・自動ポンプ制御によって抽出条件を精密に制御することで、エスプレッソの品質を一定に保つことが可能。自分の味の感覚に頼らず、エスプレッソテクノロジーで好みに合わせた抽出する。会場ではモカを使って完熟マンゴーの味わいが楽しめるエスプレッソを訪問者に振る舞れた。

”Connoisseur.”の開発者、立命館大学理工学部機械工学科の岡田拓真氏。

電子楽譜プラットフォーム Piascore

Piascoreは、管理が面倒、譜めくりが難しい、演奏したい曲の楽譜が見つからない、といった楽譜の様々な課題を解決するためのプラットフォーム。すでに世界中で500万人以上のミュージシャンに利用されているという。出展者のPiascore株式会社 代表取締役の小池宏幸さん(左)は2010年度 未踏IT。
Piascore株式会社 https://piascore.com/ja/

未踏ジュニア

未踏ジュニアは、一般社団法人未踏が行う独創的アイデアと卓越した技術を持つ17歳以下の小中高生クリエータ支援プログラム。2016年からこれまでに116名のクリエータが支援・採択され、卒業生は慶應SFCや都立大学、近畿大学などに推薦枠で出願できるという。今回は2023年度の未踏ジュニアスーパークリエータの一部が展示。写真は未踏ジュニアの伊組烈火氏(左)と原 瑞樹氏。
未踏ジュニアHP https://jr.mitou.org/

超伝導量子コンピュータ国産3号機のクラウドサービス

国産部品のテストベッドとして開発を進めてきた超伝導量子コンピュータ国産3号機を2023年12月に稼働開始した大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)。今回の展示では、大阪大学の活動や量子コンピュータ・クラウドサービスの仕組みが紹介された。この場で初めて超伝導量子コンピュータの存在を知った記者に対し、大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 特任准教授の野口裕信氏が丁寧に概要を説明してくれた。
大阪大学の研究専用ポータルサイト https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20231220_1

会の途中には特別企画としてトークセッションが2回行われた。写真は午前中に開催された第一部「修了生とプロジェクトマネージャーによるトークセッション」の様子。登壇者は左から漆原 茂氏(ウルシステムズ株式会社 代表取締役会長、ULSグループ株式会社 代表取締役社長、株式会社アークウェイ 代表取締役社長、未踏アドバンスト事業 プロジェクトマネージャー)、安野貴博氏(MNTSQ創業者、小説家)、中村裕美氏(東京大学大学院情報学環 特任准教授)、登 大遊氏(ソフトイーサ株式会社 代表取締役、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)産業サイバーセキュリティセンター サイバー技術研究室室長、NTT東日本 特殊局員)、稲見昌彦氏(東京大学 総長特任補佐、先端科学技術研究センター副所長・教授、未踏IT人材発掘・育成事業プロダクトマネージャー)。

今回の取材で会場を回っていた記者がふと気づいたのは、「今この場所にいるのは天才ばかりだよ」という事実。普通の人(凡人?)からしてみたら、およそ考えつかないようなことをこの人たちは日常的に考えているわけだ。しかも未踏事業では年齢は関係なく、小学生も含めたジュニアから育成しているというのだから驚きだ。天才的な頭脳を持った小学生がいることも驚異的だが、それを発掘する人たちもまた常人ではないのだろう。

未踏事業では毎年定期的に募集を行っており、2024年度は革新的なアイデアでビジネスや社会課題の解決を目指す「未踏アドバンスト事業」の枠が4月5日まで応募受付中。我こそはという人は、ぜひ応募してみてはいかがだろう。

未踏会議2024 開催概要
開催日時/2024年3月10日(日)10:00〜17:00
会場/ベルサール秋葉原
主催/独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)、一般社団法人未踏
共催/経済産業省
ipa.go.jp/jinzai/mitou/mitoukaigi/

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