あなたが「自然体でいられる空間」とは、どのような場所だろうか?
誰にも気兼ねなく過ごせる自室、お気に入りの音楽が流れる場所、あるいは大切な人と静かに言葉を交わす時間。答えは人それぞれだが、その問いに対してあるひとつの答えを導き出したカフェが。
それは、全国でシーシャカフェ&バーを展開する「musch(ムッシュ)」。そして、その答えをカタチにすべく、「musch 渋谷宮下パーク前店」では現在、ことばとやさしさの循環展「やさしい世界コレクション@musch」を開催中だ。
このイベントは、いったいどのようなものなのか。そして、このイベントの空間を体験することで私たちは何を得るのか。シーシャカフェ&バー「musch」を運営する、株式会社musch代表取締役・木村亮太氏に話を聞いた。
「否定がない空間」が生み出す心地よさ。muschが描く新しいシーシャ体験
「人の幸せは自然体でいられる空間の中にある」。
これは、全国に43店舗を展開するmuschが掲げる企業理念(フィロソフィー)のひとつ。これまでも暖炉を配置したり、リラックスできるソファやハンモックを用意したりと、店舗ごとに異なるアプローチで「自然体でいられる空間」を作り上げてきた。
そんなmuschが今回挑んだのは、内装やインテリアではなく、“ことば”というもう一歩踏み込んだ形での空間表現。
「自然体でいられるとはどういうことか。社内で議論を重ねて辿り着いたのは、『否定がない空間』を作りたいというシンプルな答えでした」と木村氏は語る。
否定がない空間を作るため、誰かが前向きになれる言葉、ポジティブになれる言葉を直接文字として展示する。それが本企画の出発点だ。
かつてシーシャといえば、薄暗い室内で黙々と煙を燻らせる、どこかアングラでダウナーなイメージが強かった。しかし、muschはその業界の常識を鮮やかにひっくり返した。
カフェのようにおしゃれな空間。こだわりの自家製生いちごミルクや、暖炉で焼きマシュマロを楽しむスイーツ体験。その結果、来店客の6〜7割はシーシャ目的ではなく、夜カフェ感覚で訪れる人々だという。
「シーシャそのものは、あくまで手段でありツール。ひとりで思いにふける時間や、誰かと会話を楽しむ間を繋ぐきっかけとして、そこに自然とシーシャがあればいい」(木村氏)。
今回のイベントでは、あえてシーシャを強制していない。カフェとして訪れた客がやさしい言葉に触れ、店員とのコミュニケーションのなかでふとシーシャを試してみる。そんな偶発的な出会いと気づきの連鎖が、すでに数多く生まれている。
やさしさを受け取り、置いていく。総勢29名が紡ぐ「ことばの循環」
本展「やさしい世界コレクション@musch」が提供するのは、ただ作品を鑑賞するだけの体験ではない。「やさしさに出会う」「やさしさとすごす」「やさしさをおいていく」という3つのステップで構成された、参加型の循環展である。
壁面やテーブル、さらにはシーシャ本体まで。店舗空間の至る所に、作家や歌人、ミュージシャン、SNSクリエイターなど総勢29名が本企画のためだけに書き下ろした「ありのままでいられることば」が散りばめられている。
ドリンクやスイーツ、そしてシーシャとともにくつろぐ中で、ふと自分の心に寄り添う言葉と出会う体験。
そして帰り際。来場者はその日の気持ちをシールに書き込み、次に訪れる誰かのために店内へ残していく。クリエイターから手渡されたやさしさが来場者へ届き、来場者からまた次の誰かへ。会期を通じてことばが積み重なり、空間そのものが温かく育っていく仕掛けだ。
「オフラインの強みはここにあると実感しました。来た人が人、空間、物に触れることで新しい何かが生まれ、持って帰ってもらえる。そして発信の輪が広がっていく。実店舗ならではの『循環』が起きていることがとても嬉しいです」と木村氏は手応えを口にする。
本展を彩る「ことばのつくり手」たち
ジャンルを越えて集結した表現者たちが、それぞれの感性で紡ぎ出した“やさしさ”のかたち。ここではまず、コメントを寄せてくれた10名のアーティストをピックアップしよう。
伊藤亜和|文筆家
1996年神奈川県生まれ。エッセイ「パパと私」で話題に。著書に『魔女になりたい』(文藝春秋)など。
◉コメント:ことばで直接人を励ますのは苦手な私ですが、私なりにがんばってみました。
やさしい言葉たちが作り出す空間でみなさまが安らぎのひと時を過ごせますように!
岡本真帆|歌人・作家
1989年生まれ。歌集に『水上バス浅草行き』、『あかるい花束』(ナナロク社)。最新刊に短歌とエッセイ『落雷と祝福』(朝日新聞出版)がある。
◉コメント:ありのままとは、飾らない強さであると同時に、名前のつかない曖昧さを許す柔らかさでもあると思います。誰かとの関係や自分自身のなかにある、まだ形にならないものも、そのまま大切にできますように。
オカモトレイジ|アーティスト/OKAMOTOʼS
ロックバンド「OKAMOTO’S」のドラマーとして活動するほか、DJ、ファッション、カルチャー領域などジャンルを越えて活動している。
◉コメント:不特定多数の人にかけられる言葉って、これくらいしかないかも(^^)
カツセマサヒコ|小説家
1986年、東京生まれ。『明け方の若者たち』(幻冬舎)でデビュー。2026年10月21日、二年ぶりの長編小説『憂鬱な恋の忘れ方』を刊行予定。
◉コメント:ナイフを突きつけられて過ごすような日々を前に、言葉は無力かもしれない。それでも、魂振り絞って生んだテキストが、誰かの日々を少しでも癒し、鼓舞し、潤すことを願ってやみません。ご来場お待ちしています。
鈴木ジェロニモ|お笑い芸人/歌人
1994年生まれ、栃木県さくら市出身。著書に『水道水の味を説明する』(ナナロク社)、『もっと真剣になればよかった』(リトルモア)。
◉コメント: 10代の私はみんなみたいになりたかった。20歳を過ぎても全然みんなになれなかった。私は私になるしかない。そういう諦めが私をお笑い芸人へ向かわせた。その先で短歌と出会った。私が私でほんとよかった。あなたがあなたでほんとよかった。
ナツイ|エッセイスト
おふざけとサブカルと美学のエッセイスト。2026年に著書『サブカルをお守りにして生きてきた』発売。ネアカ。
◉コメント:生き延びるだけで精一杯の世の中で、自分だけは自分をいつでも見守っている。一生モノのあなたに、誠実でいられますように。
浜野はるき|ミュージシャン
女の子の本音を紡ぐガールズスポークンシンガー。マネジメント/レーベルを自身で立ち上げ、セルフプロデュースで活動中。2027年1月23日には初となるLINE CUBE SHIBUYAにて「LIVE 2027 “Grace the Runway”」の開催が決定。
◉コメント:ミュージシャンとして日本語の美しさを楽曲に落とし込むことをモットーにしてるので、「言葉」を大事にされている今回の企画に参加できてとても嬉しいです!
東直子|歌人・作家
歌集『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説『とりつくしま』『ひとっこひとり』『フランネルの紐』等。
◉コメント:生きている自分の身体に、他者の身体にたちかえることで、それぞれの魂を初めて感じることができるのではないかと思います。
燃え殻|小説家
1973年横浜生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。ほか著書多数。
◉コメント:「そのままで大丈夫!」と過去の自分に声をかけたくなるときがある。将来が不安で、日々に疲れていた自分に声をかけたくるときがある。あのときの自分みたいな気持ちでいる人に届いたらいいな、と真剣に思っている。
モモコグミカンパニー|作家・タレント
東京都出身、ICU卒。元BiSH。執筆やメディア出演を中心に活動。写真集『死にぎわ』(仮)を自主制作中。
◉コメント:立ち止まり、物思いに耽りたい時、“空間”はとても大切な要素だと思います。シビアな世の中だからこそ、たまには力を抜いてその場の空気に身を任せてみるのも必要。そんな時間に寄り添える言葉を考えてみました。
そのほかにも多数のアーティストが参加!
| 「やさしい世界コレクション@musch」開催概要 |
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| 会期/2026年10月1日(木)〜10月31日(土) 会場/musch 渋谷宮下パーク前店 住所/東京都渋谷区神宮前6丁目19-17 GEMS神宮前 9F アクセス/渋谷駅より徒歩5分 営業時間/毎日12:00〜翌5:00 入場料/無料 ※muschは通常営業のカフェ&バーのため、1ドリンク制のオーダーをお願いしております。 ※シーシャ利用は混雑時2時間、カフェの利用は混雑時1時間制となります。 ※展示・体験そのものに、上記以外の費用はいっさいかかりません。 ※参加方法/予約不要・ひとり参加OK・写真/動画撮影OK ※利用条件/20歳以上(本人確認必須。受動喫煙防止法により、当店は20歳未満の立ち入りを禁止しております) |
「大切な人と過ごしたいからmuschに行こう。そんな風に、日常的な選択肢、サードプレイスのような位置付けになっていけたら」
木村氏が描くビジョンは明確だ。シーシャを吸うこと自体を目的とするのではなく、自然体でいられる空間のなかに、ただシーシャが寄り添うように存在している状態。
知らなかった世界への間口を広げ、音楽やアート、そして今回の“ことば”のように、さまざまな文化との交差点を作り続けるmusch。否定のない空間で、自分の心と静かに対話するもよし。誰かとゆったり語り合うもよし。
心が少し窮屈になったとき、あるいはふっと息を抜きたくなったとき。渋谷の真ん中でひっそりと育まれる「やさしい世界」へ、ふらりと足を運んでみてはいかがだろうか。そこにはきっと、今のあなたに一番必要な“ことば”が待っているはずだ。
| シーシャカフェ&バー「musch」 https://www.musch.jp/ |
