(写真上)視力検査ブースとオペレーター室を分けることで、密閉・密接な状態になることなく視力検査・度数調整を行うことが可能に。
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年齢的にどんなレンズが必要なのか。ヒアリングの結果、自分の場合は遠近用と中近用の2種類のレンズ(すなわち眼鏡がふたつ)が必要になるかもしれないこと、そしてどちらも光ストレス対策がなされたものが必須であることは理解できた。次のステップは、ニコンメガネが誇る最新機器を使っての検査・測定だ。
通されたのは、店内左奥にあるガラスに囲まれたブース。中には眼科でよく見かける、顎を乗せて覗き込む測定器と眼鏡屋さんによくある(ここも眼鏡屋さんだが)機器がドンッと置かれている。だがこの2台、只者ではない。顎を乗せるタイプの測定器はWAC700、眼鏡屋さんによくあるような機器はVISION-R 800。どちらもまだ日本に数台しか導入されていない最新の検査・測定機器で、この2台の組み合わせは今のところ日本ではここニコンメガネだけなのだ。
最新の検査・測定機器であるWAC700とVISION-R 800(写真奥)をいち早く導入。
まずはWAC700で視力検査を開始。顎を乗せ、額をつけて覗き込むだけで視力が測定できる。ほとんどの場合、ここでの測定でほぼ完璧な視力が解析できるという。続いて測定値をもとにVISION-R 800でレンズの度数を割り出す。ここまでのステップは、自分が視力検査ブースに入り、佐藤店長は隣のオペレーター室で機器を操作。質問などのやりとりは、ブース内に設置された高性能マイクと高音質スピーカーを通して行われる。完全なるリモート視力検査だ。
WAC700での視力検査。窓の中を覗くだけで、自動的に視力を測ってくれる。
WAC700での視力測定結果をもとに、VISION-R 800で度数合わせ。オペレーター室では右のタブレットで様子を確認しながら、左のコントローラーで本機を操作する。
測定値をもとに度数を割り出したら、今度はテストレンズを使用して見え方をチェック。検査の結果、やはり自分には遠近と中近の眼鏡が必要だと結論が出たので、「手元」「周辺」「遠く」の3種類の見え方を確認することに。なぜ2つの眼鏡を作らなければならないのか。答えは簡単。私の目が悪すぎるのだ。もともと小学生の頃から近眼で、近眼用の眼鏡を外すと20cm先より向こうにあるものはぼやけて見えないし、毎朝起きたら枕元周辺を軽くポンポン叩いて眼鏡を探すという儀式を40年以上続けているほど。さらに老眼で手元まで見えなくなってしまった。このような場合、手元の作業が多いからと近場が見えやすいメガネを作ると遠方が見えづらくなり車の運転に支障が。逆に車の運転がしやすいように遠方を見えやすくすると手元が見えづらくなってしまう。これを回避するには、車の運転も含めた日常生活用の遠近両用と、遠方は見えづらいが手元作業と周辺(具体的には机に広げた資料を見ながらスマホでメールを打つイメージ)を見ることに特化した中近両用が必要というわけだ。
VISION-R 800の結果をもとに、該当する度数のテストレンズを使って見え方を調べていく。まずは細かな活字の辞書で近距離(老眼)をチェック。
続いて店外に出て遠距離(近眼)の見え方をチェック。
使用するレンズが決まったら、今度は目とレンズの空間的位置関係を測定。簡単に言うと、レンズを目からどのくらいの距離に置くとベストなのかを割り出すわけだ。ここで活躍するのがスタンドミラーのような形のビジオフィス3。鏡を見るようにこの前に立つと、内蔵カメラで撮影された映像は自動的にデジタル処理され、正確な測定値が本体横に取り付けられたディスプレイに表示される。フレームはすでに決めていたので、ここまでくれば後はレンズを取り寄せ、加工してフレームにはめるだけ。
この鏡のようなものが、目とレンズの空間的位置関係を測定するビジオフィス3。内蔵したカメラで撮影した映像をデジタル処理することで、正確な測定値が瞬時に得られる。
このディスプレイにビジオフィス3の測定値が表示される。
通常であれば、ここから眼鏡ができあがるのは1週間後。ただし、度数がなかなか決まらなかったなど、場合によってはこの後、ニコンメガネが勧める眼科で再度検眼する稀有な例も。自分がまさにこの稀有な例で、勧められた梶田眼科(東京・田町)で検眼し直すことに。数日後には、テレビへの出演などで知られる同院の梶田院長に診てもらい、いただいた眼鏡処方箋をメールで佐藤店長へ。店内と院内の測定値が変わらないことを確認して、眼鏡の作成はめでたくスタートすることに……。(次回へ続く)
第三回「出来上がった眼鏡で見え心地をチェック」はこちら
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