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ニコンメガネ レンズメーカー直営店で作る“見え心地”のよい眼鏡
第三回「出来上がった眼鏡で見え心地をチェック」

(写真上)今回オーダーしたのは、このふたつの眼鏡。手前が外出時の着用を想定した遠近用、奥が屋内での作業など手元の見え心地を重視した中近用。

第二回「最新の検査・測定機器を駆使したリモート視力検査」はこちら

眼鏡の作成開始から一週間。完成の知らせを受け、再び東京・南青山のニコンメガネへ。「お待ちしておりました」と笑顔で出迎えてくれた佐藤店長の手には、黒いトレーに並べられた真新しいふたつの眼鏡が(写真上)。手前の透明なセルフレーム(耳にかけるテンプル部分はメタル)の眼鏡が遠近用で、レンズがほぼまん丸なメタルフレームの奥の眼鏡が中近用だ。オーソドックスな形状の遠近用に対し、中近用はレトロな雰囲気だが、これを選んだのには訳がある。

下の写真(老眼対策レンズの解説シート)を見てほしい。一番左のアクティブから一番右のリーディングまで、全部で5つのレンズが描かれているのだが、これらの違いは「遠く/中間/近く」の見え方だ。レンズ上の紫で塗られた部分が遠くを見るエリアで、濃い青で塗られた部分が近くを見るエリア。車の運転に適したアクティブの上ほぼ半分は紫で、中心より少し下に面積の小さい濃い青があるのがわかるだろう。それが右へ移動するにしたがって紫は徐々に上へと移動して面積が減り始め、逆に濃い青は徐々に面積が大きくなりながら上へと移動していく。一番右にある読書向けのリーディングでは紫がほぼ確認できず、瞳の真正面には濃い青がある。ではなぜ今回、中近用眼鏡にまん丸なフレームを選んだのか。

それぞれ用途別にネーミングされていて、選ぶ時にわかりやすいニコンの老眼対策レンズ。レンズに描かれた紫の部分が遠くを見るエリアで、濃い青の部分が近くを見るエリアだ。

フレームの形状に合わせて削る前のレンズの形を見たことがあるだろうか。実は正円なのだ。上の解説シートを見ると、右から2番目のクラフトでは少し見えていた紫が、一番右端のリーディングではほとんど見えなくなっているように見えるが、それは横に広く縦が短いフレームの形状に合わせて削っているから。そこで正円に近い形のフレームを選んで削れてなくなる部分を減らすことで、遠くを見るエリアを少しでも残そうというのが佐藤店長の作戦だ。確かに、見えるエリアを削ってしまったら見えなくなるのは当然のこと。でも、なかなかそのあたりを教えてくれる眼鏡屋さんにはこれまで会ったことがない。ひとつ勉強になった。では、いよいよ出来上がった眼鏡を実際にかけて見え心地をチェックしよう。

最初に中近用眼鏡での見え心地をチェック。普段から身につけている腕時計の文字盤が、ちゃんと見えることに感動。

スマホの普及で腕時計をしない人も増えたようだが、私はまだまだ腕時計派。それも、針がたくさんあるクロノグラフタイプのアナログ時計を愛用している。そのため文字盤には時間を表す針のほかに秒針やストップウォッチなどの小さなメーターが3つあるのだが、それらの機能はまったく使ったことがない。なぜなら、小さなメーターに何が刻まれているのか見えないから。もちろん、これまでも遠近両用眼鏡はかけていたのだが、それでもまったく見えず、結局「時間さえわかればいいや」と半ば諦めて何年も使い続けている。ところが、今回オーダーした眼鏡をかけるとちゃんと見えたのだ。それも遠近、中近の両方で。中近用では見えるだろうと予測していたが、まさかの遠近用でも見えたことには正直驚いた。

オフィスのデスク周りを模した体験コーナーでパソコン画面や印刷物がどう見えるか、中近・遠近両方とも確認。

どちらもこれまでかけていた眼鏡と比べて見やすいが、とくに中近用では飛行機のチケットやレシート、辞書などの細かい文字を、よりストレスなく読むことができた。

オーダーした眼鏡に使用されたレンズは遠近用がアクティブ、中近用がホーム。上2点の写真のように、デスクワークを擬似的に体験できる体験コーナーで小さな文字の印刷物やパソコンの画面をチェックしたが、手元の見え方重視のホームではもちろん、遠近用のアクティブでも見えたことには感動すら覚えた。これまでかけていた遠近両用では、深夜に原稿を書いていると画面がボヤけて見え始め、さらには3メートル先にあるテレビの画面も字幕が読めなくなり、日を追うごとに仕事の効率も下がっていたのを実感していた。でもこの調子なら、テレビを観ながらでも仕事ができるような余裕のある時はアクティブ、わき目もふらず仕事しなければ間に合わない締め切り前はホーム、と使い分けもできそうだ。

遠近用、中近用の両方ともパソコンやスマホの画面から発生するブルーライトをカットするレンズを使用しているが、遠近用ではさらに紫外線からの光ストレス対策に効果がある調光レンズ「トランジションズ」を選択した。自分はあまり外に出ないインドア派だが、それでも買い物などで何かしら外には毎日出ているので、今後の眼病予防のためにも調光レンズは必要だと感じたのだ。そこで紫外線が当たると、どのように色が変わるのかを見るために佐藤店長が取り出したのがUV(紫外線)ライト。机の上に置いた遠近用に被せ、スイッチを入れる。するとレンズの色が濃くなっていく(写真下2点)。あっという間にレンズの濃さはMAXになり、見た目はサングラスにしか見えないほど。

遠近用は光ストレス対策のために調光レンズ「トランジションズ 」を選択した。色の変わり具合をUV(紫外線)ライトでチェック。

紫外線を当て始めてから、ものの10数秒でここまで色が濃く変化した。

UV(紫外線)ライトから取り出した遠近用をかけてみる。これまで無色透明なレンズしか使用したことがないので、とても新鮮な気分だ。すると、今回は屋内で試したため、レンズの色は徐々に薄くなっていった。この色の濃淡変化のスピードは、生活する上でとても重要なこと。明るい屋外からドアを開けて真っ暗な部屋に入るようなシチュエーションで、いつまでもレンズの色が濃かったら足元が見えずにつまづいてケガをしてしまうかもしれないし、逆に暗いところから急に明るい場所に出た時、いつまでも色が濃くならなかったら眩しくて動けなくなる可能性も。当然、瞬間的に濃淡が変わることはないが、10数秒ほどで変わるのなら十分だ。

一見するとサングラスのよう。この状態から室内など紫外線の少ない場所に入ると徐々に色は薄くなっていく。

紫外線の量で色が変わる調光レンズを選ぶ際、どの色だと自分はどう見えるのか擬似的に体験できるバーチャル トライオン。この簡易版はトランジションズのHPにアップされていてスマホでも体験できるのだが、これが実に楽しい。ぜひ試してほしい。

さて次回は、このふたつの眼鏡を普段の生活の中で使用し、その見え心地をリポートしていこう。

ニコンメガネ
nikon-megane.com

トランジションズ試着体験(バーチャルトライオン)
campaign.nikon-lenswear.jp/transitions/202004/
transitions.com/ja-jp/virtual-try-on/