<コラム>スマホをメインカメラにしようかな【前編】

私たち編集者が取材時に使用するのは一眼レフカメラ。その理由は大きく分けて2つある。

まずひとつが「JPEGモード」と同時に「RAWモード」でも撮影するため。というのも、人物、商品、建物、風景と記事によって被写体が異なるのと、必ずしも照明が完備されたスタジオのような場所で撮影できるとは限らないので、撮影後にPhotoshopのようなアプリケーションでレタッチするには情報量の多いRAWモードで撮影したほうが具合がよいのだ。「それならRAWモードだけで撮っておけばいいじゃん」という意見もあるが、RAWデータは情報量が多いだけあって開くのに時間がかかり、何枚も撮影した写真の中から一枚を選ぶのが大変で、同じ絵面のJPEGの中からサクッと選んでRAWデータをレタッチするほうが効率がよいのだ。

もうひとつの理由は、被写体となる人物や建物の所有者に対して不安感を与えないため。実は撮影の状況によってレンズを適正なものに交換しなければならない一眼レフに比べ、スマホはレンズを交換しなくても様々な撮影状況に対応する万能カメラ。それでも取材時に一眼レフではなくスマホで撮影しようとすると露骨に嫌な顔をする人がいるので、「ちゃんと一眼レフで撮ってますよ、安心してね」というアピールの意味も兼ねて一眼レフを使用している。6〜7年ほど前だっただろうか、こんなことがあった。とある牛鍋店を撮影する際に手持ちの一眼レフのレンズでは外観の全景が収まらず、やむなくiPhoneで撮影した。今の最新機種と比べると確かに画素数も少なく、見開きで大きく使うことはできないが、50×40mmのカット写真程度の大きさなら紙への印刷にも充分すぎるくらいのピクセル数だし全く問題ないと判断したからだ。ところが翌日、広告営業担当者からクレームが。「どんな撮影したの? ちゃんとしたカメラマンで取り直せって言ってきてるよ」と。つまり、スマホで撮影するようなカメラマンは信じられない、というのだ。その時は、まぁムカつきましたね、広告営業担当者に。撮影前にその人が私に伝えたのは「場所は白金台。料理の写真をサクサクっと撮るだけだから三脚もいらないよ」というものだったから。それに自分、カメラマンではなく編集者なんですけど。

時は流れて今、商品発表会に行くと一眼レフよりスマホで撮影している人が多くなった。ブロガーさんやインスタグラマーさんなどが発表会に来るようになり、その人たちが撮影した写真は雑誌よりもピクセル数が少ないwebに載せるからという背景もあるが、なによりスマホ自体のカメラ性能がとてつもなく進化したのが大きな要因だ。先日、都内のイルミネーションスポットをいくつか回ってミラーレス一眼とスマホの両方で撮影してみたのだが、Macに取り込んで見比べるとレタッチ前の状態での見た目は圧倒的にスマホのほうがキレイだった。

上/ミラーレス一眼で撮影、下/スマホで撮影


ちなみに上のミラーレス一眼で撮影した画像のRAWデータをレタッチすると、下のような感じになる。


この時に使用したスマホはOPPOのFind X2 Pro。日本では今年の7月に発売されたモデルだ。当サイトはケータイ専門サイトではないので、詳しいスペックは公式HPなどで確認していただくとして(説明しようにも、どう説明すればよいのかわからないので)、ここでは撮ってみた的な感じで進めたいと思う。

OPPO Find X2 Pro
au.com/mobile/product/smartphone/opg01/

まず撮影現場で感じたことは「画面がデカイ」。もちろん、いい意味で。普段使用しているミラーレス一眼のモニターは3.0インチだが、Find X2 Proのディスプレイは約6.7インチ。これだけ大きければ撮影時のファインダーとしても見やすいし、撮影後のチェックもしやすい。ちなみにauの商品紹介ページには「QHD+の画面解像度、10億色の高精細かつ色鮮やかなディスプレイはスマートフォンの限界を超え120Hzのリフレッシュレートが滑らかな描画を実現します。さらにAIが環境に合わせて色味や輝度を調節し最適な視覚体験を提供します」と書かれており、その凄さは機械オンチの私でもなんとなくわかる。つまり、スマホの限界を超えた描写力を備えているということだろう。実際に現場で実物とディスプレイを見ながら撮影した本人から言わせてもらうと、被写体の再現度はFind X2 Proのほうが上。だから撮影した直後にSNSにアップする目的で使うなら、一眼レフではなくスマホを使うのがベストだろう。

(後編に続く)