絶好調の本麒麟がリニューアル!

昨年3月の発売から怒涛の勢いで売れている「本麒麟」が、1月下旬に大びん換算の累計販売数量1000万ケースを突破した。発売からわずか約10カ月での1000万ケースは、同製品を販売するキリンビールの過去10年の新商品では最速で、このことからもいかに本麒麟が絶好調なのかがわかるというもの。そんな中、早くも本麒麟がリニューアルされ、1月中旬から出荷が開始された。そこで今回は、なぜこのタイミングでのリニューアルなのか、そしてどう変わったのかをキリンビールのマスターブリュワー・田山智広氏と、本麒麟の味を生み出したブリュワー・中村壮作氏に聞いてみた。

Q .発売からわずか10カ月で好評の本麒麟をリニューアルする理由は?

  A. 「いち早く美味しいものを」という想いから。

中村氏 弊社では10年ほど前から様々な麦系新ジャンル商品を作って皆さんにお届けしています。それらで培われた技術の粋を総結集させたのが本麒麟です。本麒麟はすごくご好評いただいて、いろんな方から美味しいという声もいただいていますし、実際、我々の想定以上に売れています。
では中身としてはこれで完成品なのかというと、実はまだできることって色々あるんじゃないかな、もっと美味しくできるんじゃないかなという思いがあるんですね。我々の中でできそうなこと、試せそうなことがまだいくらかあるんじゃないかとか、去年はできなかったけど今年になったらできるようになったりとか。もちろん、我々の技術も日々レベルアップしていますし。そんななかで本麒麟という商品をもっと美味しくして、中身も含めてブランドとして進化していくということを、しっかりとお客様にお伝えしていく必要があるんじゃないかと思いました。
「もう美味しいって言ってくれてるんだから、無理して中身を大きく変えなくてもいいんじゃない?」という話も当然ありました。しかし、より良いものができるのであれば、それを皆さんにお届けしたい。発売からまだ一年経っていないタイミングではありますが、そういう思いでリニューアルしました。

田山氏 お客様の美味しさの嗜好は変化していくものです。どんどん変わっていきますよね。ビールに限らず、食事も一番美味しいものを食べちゃうと水準が上がってしまい、後戻りできなくなってしまう。そうすると、もっと美味いものが食べたいとか、美味しいものが飲みたいとか、自分の基準が上がっていくんですね。本麒麟も「ああ、美味しい」と言ってくれているお客様は多かったと思うんですが、飲んでいるうちにそれが普通になってきます。
だから「さらに美味しくなりました」という我々のメッセージ、そして味は、たぶんお客様には歓迎してもらえるだろうと考えています。当然、一度味を変えてしまうと逆戻りはできないんですが。でも、もし現状維持を貫いたとしても、ほかの新商品の登場や味に対するお客様の基準値の上昇などが影響して相対評価になり、今まで輝いていたものがむしろ普通になってくるみたいなことって起こり得ますよね。やはり我々嗜好品メーカーとしては、常に時代や味覚の変化などをしっかりと見据えた上で、そのちょっと先を行く、少しでも良くするということを続けていくのが使命だと思っています。そうすると、日々いろんな改良をして、中身を試行錯誤していくなかで、より美味しいものができてくれば「これを早くお客様に飲んでもらいたい」と思うんですよ。
「ちょっとタイミング早いかな?」という気はしないでもないし、「好きなものをコロコロ変えてくれるなよ」というお客様の気持ちもあるかもしれないですが、“より美味しくなる”ということはおそらく歓迎してもらえると判断しました。今回のリニューアルで、さらに美味しくなるのはわかっていましたので。つまり「いち早く美味しいものを」ということなんです。

上/キリンビール 横浜工場にあるパイロットプラント。ここで何度も試作が繰り返され、キリンビールの新商品が誕生する。下/小窓を覗くと、中には泡立った液体が。これがいつか発売される新商品の礎になるのだ。

Q. リニューアルで味はどう変化した?

  A. 後味スッキリは残しつつ、飲みごたえアップ。

中村氏 もともと持っている本麒麟の良さは「コク」「飲みごたえ」が感じられながらも、後味の「キレ」であったり苦味からくる「締まり」があるというところ。味はすごく強いけれどもドリンカブルで、飲みやすい、ということですね。そこで今回は、その特徴をより強めました。まずコク、そして飲みごたえはより強く感じられるようになりました。一方で、重たくて飲みづらくならないように味のキレや締まりとかドリンカビリティみたいなものでしっかり担保しつつ、より本麒麟というものが持っている中身のイメージというのを先鋭化し、シンプルにポジティブな部分を強調した感じに中身を改良しました。

田山氏 本麒麟を作る上で目指していたのは「ラガービール」。これがもともとの骨格です。ラガーの良さっていうのは、飲みごたえがあるということと、ラガーでしかできない飲みやすさ。飲みごたえがしっかりあって、それが後に残らずに、さっと切れていって、飲みやすい後口になるからまた飲みたくなる。これがラガーの良さ。そしてこれを100年以上追求しているのがキリンビールなんです。それを新ジャンルというカテゴリーで最高の形にしようと開発したのが本麒麟です。ではこれがどう進化したのかというと、後味はサッと切れてスッキリというところは残しつつ、飲みごたえはアップしました。新ジャンルなのにビールみたいな満足感を目指してコンセプトを作ってますから。

上/工場で箱詰めを待つ本麒麟。下/本麒麟に使用されているドイツ産ヘルスブルッカーホップ。

Q. 本麒麟を一番美味しく飲む方法を教えて。

  A. とにかくグラスをキレイにする。

田山氏 どうやって飲むかということは、実は大事なんです。上にすぼんだような形だったり、縦長のグラスでしっかり泡を立てて。そうするとマイルドになります。細かい泡を作るには、グラスをとにかくキレイにするというのが大前提。
ビールのグラスは、他の食器を洗うスポンジで洗わないでください。共通のスポンジの中には油分とかができてしまうので、必ずビールグラス専用スポンジを使ってください。
油分をキレイにしたら自然乾燥させます。布で拭くと細かい破片などがついてしまい、そこで無駄な発泡が起こったりということがあり得ます。それから異論があるかもしれませんが、ビールを注ぐ前に水や氷水で注いで内面をキレイにするのが私の注ぎ方です。滴は切る感じで、完全に乾かす必要はないです。グラスは保管中にいろんな臭いを吸ってしまうので。
あとは注ぎ方。最初に泡を立てるときは、高い位置から思いっきり注いで。ほとんど泡10くらいでOK。そこから6割、7割が液体になったところで、2回目、3回目をそーっと注ぐ。とにかく最初が大事です。この方法だと新ジャンルでも細かい泡が立ちます。本麒麟でそれをやってください。全然違いますよ。

— ありがとうございました。

キリンビール株式会社
キリンビール マスターブリュワー
田山智広氏

キリンビールが販売するビール類の味を守り、進化させる醸造責任者。キリンビールの“味の番人”である。2016年4月より現職。

キリンビール株式会社
商品開発研究所 中身開発グループ
中村壮作氏

「キリンのどごし スペシャルタイム」をはじめとするビール類の開発に従事し、「本麒麟」の開発にも携わった。2013年1月より現職。


本 麒 麟
発売地域/全国
発売日/2019年1月中旬製造品より順次切り替え
容量・容器/350ml缶、500ml缶
価格/オープン価格
アルコール分/6%
酒税法上の区分/リキュール(発泡性)①
問合せ先/キリンビールお客様相談室
(フリーダイヤル)0120-111-560

www.kirin.co.jp



(男の隠れ家ONLINE2019年2月17日)