ニコンメガネ レンズメーカー直営店で作る“見え心地”のよい眼鏡
【第一回】「眼鏡の主役はレンズ」
メガネレンズメーカー「ニコン・エシロール」直営の眼鏡店「ニコンメガネ」が今年7月、東京・南青山に移転。コロナ禍における感染対策を考慮し、最新の検査・測定機器によるリモート視力検査を実現した新しい形の眼鏡店として生まれ変わった。ここでは視力検査から眼鏡の製作、そして実際に完成した眼鏡のシチュエーション別かけ心地のリポートを大きく4つに分けてお届けしよう。
有名ブランドのショップが建ち並ぶ表参道。ニコンメガネは、その一画に建つオシャレなビルの2階に移転した。
表参道駅から歩いて2分、青山通りから少し奥に入った場所に移転したニコンメガネ。想像していたよりも店内はかなり広く、ゆったりとした印象だ(写真一番上参照)。通常の眼鏡店は、いたるところにフレームが展示され、その一画に視力検査ブースがあるイメージだが、ニコンメガネはその逆。入り口から入ってすぐ右の一画がフレームコーナーで、そのほかのほとんどのスペースが検査・体験コーナーに割り当てられている。
というのも、ニコンメガネのモットーが “「見え心地」をつくる眼鏡店” だから。素人考えでは、まずフレームを選んで次に視力検査、あとは椅子に座って出来上がりを待つだけというのが眼鏡をつくる際の流れ。実際、多くの眼鏡店がそんな流れだし、お客さんもそれに対して何の疑問も持っていない。しかし、何のために眼鏡を作りにいくのか? そう、裸眼では見えにくいからだ。つまり、眼鏡の主役はレンズなのである。人によって異なる、最適な見え心地のためのレンズを選定するために、ニコンメガネでは検査・体験コーナーに重点を置いているわけだ。
ニコンメガネで使用される検査機器の一部。このほかにも正確な度数を割り出すために必要なものがたくさんある。
入り口から入って店内右側にあるフレームコーナー。検査・体験コーナーと比べると小スペースだが、それでもかなりの点数が並んでいる。
移転というニュースがあったとはいえ、数ある眼鏡店の中から「ニコンメガネ」を今回なぜ大きく取り上げることにしたのか。それは「ニコンメガネ」が、ニコン(Nikon)ブランドのレンズを取り扱う最新の測定器を取り揃えたメーカー直営の基幹店だからだ。50歳前後から増えるというイメージがある老眼だが、実は若い頃から異常に目を酷使する雑誌編集という職業に就く我々編集者は、40歳を迎える前に老眼になる者が多い。とくに雑誌の中でも細かい情報を扱う専門誌を制作する編集者に顕著なようだ。渓流釣り専門誌や旅行雑誌の編集者が多い私のまわりでは「39歳で老眼にならないヤツは、ちゃんと仕事をしていない」という説がまかり通っているほど。私もご多分に漏れず30代後半にめでたく老眼になり、50歳を超えた今では手元がまったく見えなくなってしまった。そんな背景もあって、ニコンメガネを選んだわけだ。(次ページへ続く)