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ザ・リッツ・カールトン東京 一夜限りのゲストバーテンディングイベント第5弾は、ザ・リッツ・カールトン ミレニアシンガポールのバー「リパブリック」よりパウロ・ナランジョ氏が登場

ザ・リッツ・カールトン ミレニアシンガポールのバー「リパブリック」のパウロ・ナランジョ氏をゲストに迎えた1夜限りのゲストバーテンディングイベント『バーテンダー テイクオーバー 第5弾』が2月24日、ザ・リッツ・カールトン東京 45階のザ・バーで開催された。

2021年4月の開業から1年後、2022年度の「アジアのベストバー50」の第12位に入賞した「リパブリック」は、シンガポールのカクテルシーンで一躍注目を集めるバー。そこでバーテンダーを務めるパウロ・ナランジョ氏は、ガーニッシュ(装飾)を使ったユニークなカクテルや、曲芸的なパフォーマンスのフレアバーテンディングで人気を呼んでいる。

パウロ・ナランジョ氏(左)とザ・リッツ・カールトン東京 ザ・バーのヘッドバーテンダー、和田健太郎氏。

バーテンダー テイクオーバーでは、1960年代をイメージした「リパブリック」らしく、ポップカルチャー全盛だった当時のアート、映画、ファッション、ミュージックをテーマにし、サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU」、サントリーウイスキー「知多」、バーボンウイスキー「メーカーズマーク 46」を使用した全4種類のオリジナルカクテルが提供された。

【バーテンダー テイクオーバー 】提供カクテル

バーテンダー テイクオーバーで提供されたオリジナルカクテル。左からGeorgette、Mondrian、A Space Odyssey、Kim Sisters。

今回は業界誌『週刊ホテルレストラン』の記者であり、お酒の専門家でもある小川大輔氏からイベントのカクテル評が届いたので、写真とともに紹介しよう。

Georgette

シンガポールの画家であるジョルジェット・チェンが1969年に描いた「トロピカルフルーツ」を基に創造したカクテル。印象派の影響を感じる絵画だが、バスケットに入った果物にはライチやバナナ、パイナップルにマルメロのようなものも描かれている。このカクテルは、そんな作品からインスピレーションを得てつくられている。

ベースにはサントリージャパニーズクラフトジンROKUで、ライチシロップ、リノマトビアンカ、ハニーシロップ、ハイビスカスティー、シトラスストック、シトリックソリューション、ソイミルク、フルーツバスケットが素材として用いられている。

第一印象は花。フローラルな香りが立ち、続いて紅茶のような印象を受ける。紅茶メーカーがオリエンタルな雰囲気のブレンドを出した時のようなニュアンスで、これはライチなどに加えハイビスカスティーからくるものだ。シンガポール・スリングをトロピカルにアレンジしたような作品だが、ソイミルクが使われている点が素晴らしい。乳製品がダメな方にも楽しんで頂けるようにとの配慮が見られる。ソイミルクによる口当たり以外にも、ハニーシロップが良い仕事をしている。様々なフルーツの要素を用いると、どうしても酸味が目立ったりしてしまう。その酸味とオリエンタルな香りを上手にまとめるのに、ハニーシロップがいい味を出している。ナランジョ氏のカクテルは、どれも口当たりの良さが特筆すべき点なのだが、その口当たりの良さは「バランス」がよく考えられているからこそ生まれる。ほんのりと色づくピンク色にバラのような刻印がなされた氷が見た目にも美しい。

A Space Odyssey

1968年のサイエンスフィクション映画からインスピレーションを受けたカクテル。

ブルーベリーやブラックベリー、ラズベリーなど様々なベリーを漬け込んだサントリーウイスキー「知多」をベースに、ハニーシロップ、レモンシュラブ、ソーダ水、シャンパーニュ、グリッターが使われている。

このカクテルは、2段階で楽しめる。気のせいかもしれないが、口に含んだ中盤から泡の質が微妙に異なる印象を受けた。これは酸味による感覚もあるかもしれないが、ソーダ水とシャンパーニュという気体の溶存の差が出ているようにも感じられた。フレーバーはベリーの香りが豊かで、ここでも用いられているハニーシロップが柔らかさを与え、全体的なバランスをレモンシュラブで整えている。ハチミツがある分、口当たりもよく飲み口がよい。そして、見た目にも楽しめる。中央にあるロケットを想起させる氷が徐々に溶け出すことで、グラスの中で対流が生まれる。その対流に乗って、グリッターがキラキラと輝き、まるでロケットが銀河を進んでいるような様を描いてくれる。2段階ロケットではないが、泡のニュアンスや見た目と、1杯で2度楽しめる工夫がされている。

Mondrian

イヴ・サンローランが1965年に発表したオートクチュールドレスへのオマージュカクテル。

サントリージャパニーズクラフトジンROKU、リノマト、シナモンシロップ、クラリファイドアップルジュース、シトラスストック、卵白を用い、トップにはライスペーパーが飾られている。

液面に浮かぶライスペーパーの模様から、イヴ・サンローランのモンドリアンがどんなデザインかすぐにわかる。他のカクテルと違い、このカクテルはファッションがテーマであるため、どのような工夫がなされているのかを楽しみにしながら口元に運んだ。

意外にも、第一印象は香水、しかもクラシックでオーセンティックなもの。これはジンの香りに加えて、リノマト、そしてシナモンシロップが香水のアフターのような印象を与えていることに由来している。他の3種のカクテルに比べて、ぐっと大人びた印象のあるカクテルだが、卵白がジンのボディを優しくしてくれているため、ソフトな口当たりに仕上がっている。リンゴの香りがアフターに出てくるが、他のフレーバーと合わさりどことなくジャスミンを思わせる。ジンだけでは厚みが出ないが、卵白を用いる事で口当たりを良くしつつ厚さを出している。そこにライスペーパーが加わることで、ベースのお酒がオートクチュールを纏っているような楽しみが味わえる。

Kim Sisters

1960年代にアメリカで活躍し、韓国ガールズグループの元祖ともいわれる歌手をイメージしたカクテル。アイリッシュコーヒーを思わせるカクテルだが、シンガポールではホットカクテルは出ないという。そこで、何とか楽しめるようにとつくられたのがこのカクテルで、今ではバーの顔ともいえるカクテルになったそうだ。

材料はバーボンウイスキーである「メーカーズマーク46」にチョコレートをインフュージョンさせ、コーヒー、ミスターブラック・コーヒーリキュール、ヘーゼルナッツシロップ、クリーム、ダルゴナクラムズが用いられている。

ほんのりとぬるい温度で提供されるこのカクテルは、ベースとなるスピリッツの選定が素晴らしい。コーヒーの香りをより引き立てるキャラメルやバニラ、オーク樽のニュアンスだけでなく、小麦由来の柔らかさが出るため、クリームともよくマッチしている。これが他のウィスキーやバーボンであれば、口当たりが違い、かつ、温めたアルコール感がどうしても浮いてしまうであろう。だからこそ一口目の印象で「クリーム感が上手にでている」と、香りや味わいよりも全体のバランスに目がいったのだろう。中盤からは、バーボン由来の香りにヘーゼルナッツやカラメルの香りが加わる事で奥行きがぐっと出てくる。口当たり、香り、濃さともに非常に満足感の高い一杯に仕上がっており、アイリッシュコーヒーを飲みたいならリパブリックへというのも納得する完成度と味わいだ。

小川大輔氏のイベント評
パウロ・ナランジョ氏のカクテルは、バランス感覚に優れている。通常、「バランスが良い」と表現ではよく用いられるが、酸味と甘みのバランスが良いというように、そのバランスは何と何のバランスなのかということを気にしなくてはいけない。ナランジョ氏は単なる五味のバランスだけでなく、総合的な口当たりを含めた作品全体のバランスを整えることに卓越した技能を持っていると感じた。2022年度の「アジアのベストバー50」の第12位に入賞し、シンガポールのカクテルシーンを牽引するバーテンダーとしての技量とセンスを十分に楽しめる内容であった。

ザ・リッツ・カールトン東京
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次回のバーテンダーテイクオーバー開催予定
日時/2023年3月23日(木曜日) 18:00~22:00
価格/各3,000円(税金、サービス料込)
「Bar TRENCH」チーフバーテンダー ロジェリオ五十嵐ヴァズ氏が、ゲストバーテンダーとして来店。
※夜の演奏時間帯での利用は、エンターテイメントチャージとして2,500円(税込)加算。
※営業時間は予告なく変更となる場合あり。
※ザ・バーでは席の予約は不可。

 

ザ・リッツ・カールトン東京
東京都港区赤坂9丁目7−1 東京ミッドタウン
TEL.03-3423-8000
https://www.ritzcarlton.com/jp/hotels/japan/tokyo


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