伝統産業の価値や魅力を新たな形で表現する「江戸東京リシンク展」 オンラインで開催

写真上/龍工房の組紐があしらわれたヒールレスシューズと舘鼻則孝氏。

江戸東京に受け継がれる伝統産業の過去から未来を往来するオンライン展覧会「江戸東京リシンク展」が、3月上旬より開催される。ディレクターを務めるのは、レディー・ガガ愛用のヒールレスシューズを生み出したアーティスト・舘鼻則孝氏。今回発表される作品は、「日本文化の過去を見直し現代に表現する」という舘鼻則孝の創出プロセスである「RETHINK」を起点に、古来より続く伝統産業の価値や魅力を新たな形で表現したもの。東京都指定有形文化財である旧細川侯爵邸 和敬塾を舞台に映し出される作品の数々は、古くから伝わる歴史的な伝統産業の新しい形を切り拓くかもしれない。

舘鼻則孝氏×伊勢半本店(紅)

伊勢半本店の紅の美しい玉虫色に舘鼻が惚れ込んで制作されたヒールレスシューズ。玉虫色を変色させないように美しい発色で残すことに成功。まず模様を押し出してから、特殊技法によりヌメ皮を丁寧に染色している。

後ろから見たヒールレスシューズ。絶妙なバランスとデザインの美しさに、感嘆。

舘鼻則孝氏×うぶけや(刃物店)

アクリルの中にうぶけやの花はさみが浮遊しているかのように見える新作。雲の模様はアクリルを削り出して表現している。


舘鼻則孝氏×龍工房(組紐)

表裏が2色で分けられた厚みのある角形の組紐を用いて制作されたヒールレスシューズ。結び目を結んだ組紐を貼り付けていく、繊細な作業だ。薄い桃色は赤ちゃんのファーストシューズのサイズ。



昭和初期の代表的華族邸宅である旧細川侯爵邸の一室に展示された作品と舘鼻氏。

舘鼻則孝氏 メッセージ

私の創作活動のプロセスでもあるリシンクという考えかたは、過去の日本文化を見直し現代に表現するというところにあります。本展を通して新たな制作に一緒に取り組んで下さった歴史ある伝統産業事業者の方々は、どなたも古くから継承された技術や製法を重んじ、また新たなことにも挑戦されている方々です。私のような現代の作家と創作を共にすることで、お互い新たな気づきがあったと確信しています。未来の伝統や日本文化とも呼べるようなものを創出することはとても困難な道のりであり、またそれが生まれた瞬間には、おおよそ気付かないことがほとんどです。そのような中でも本展のような試みが将来への価値ある手配りになると私は信じています。


「江戸東京リシンク展」オンライン 開催概要
開催期間/2021年3月上旬~
主 催/東京都
参加企業/東京くみひも 龍工房、江戸小紋 廣瀬染工場、江戸切子 華硝、刃物 うぶけや、紋章上繪 京源、小町紅、伊勢半本店、江戸木版画 高橋工房、暖簾 中むら
edotokyorethink.metro.tokyo.lg.jp