<体験リポ>ブルックリン・ブルワリー社のフラッグシップショップ「B」で、サワービールを飲み比べ

昨夏頃から徐々に日本でも話題になってきたサワービール。簡単に説明すると、サワービールとはビールを醸造する際に乳酸菌を入れたもので、その名の通り「酸っぱい」のが特徴だ。パッと見ただけでは、日本でよく飲まれるピルスナービールと見分けがつかないが、苦味をイメージして喉に流し込むとその酸っぱさに驚くかもしれない。でもその酸っぱさも最初だけで、爽やかな飲みごたえにグイグイいけてしまうという。「酸っぱいビールなんて……」と顔をしかめる人がいるかもしれないが、レモンを浮かべたハイボールや柑橘系サワーなど、実は日本人は酸っぱいお酒が好きな国民のはず。それにライムを搾った上にビンの中に押し入れて「うまい、うまい」とゴクゴク飲みながら、「やっぱりコロナビールにはライムがないとダメだよな」なんていう時代もあった。「今、海外で人気なんですよ、酸っぱいサワービールが。これ、昔から発酵食品を食べている日本人の味覚にとても合うと思うんですよね」と話してくれたのは、ブルックリン・ブルワリー・ジャパン社の金さん。「乳酸菌」「発酵」っていうけど、どのくらい発酵させてるんだろうか? そして、海外で大人気だという「酸っぱい」ビールとは?

というわけで、そんなサワービールを、それも本場ニューヨークから温度管理のために冷蔵された状態で直送されたものが飲める東京・日本橋兜町にある「B(ビー)」に行ってきた。アメリカの代表的なクラフトブルワリーである、ブルックリン・ブルワリー社の日本におけるフラッグシップショップだ。アメリカには様々なクラフトビールがあるが、一番伸長率が高いのがサワービール。中でもニューヨークでナンバーワンの人気を獲得したサワービールが、同社のブランドであり軽やかな酸味で話題の「ブルックリンベルエアサワー」。11月から全国の飲食店とキリン オンラインショップ「DRINX」で数量限定販売されたベルエアサワーだが、このほかにもBでしか飲めないサワービールがあるという。まずはサワービールの持つ多様な味わいを確かめないのは損と、話題のベルエアサワーと同店限定のサワービールを飲み比べてみることにした。

ベルエアサワーとともに注文したのは「ブルックリン ロゼデヴィル」と「ブルックリン パレンケ」。トロピカルフルーツのような香りと爽やかな酸味のベルエアサワーに対し、ロゼデヴィルはラズベリー果汁をふんだんに使用したフルーティーな酸味とほのかに感じられる甘みが特徴。当然といえば当然だが、ラズベリーが使われているので色はピンク。そんな視覚的な刷り込みもあってか、ラズベリーの酸っぱさがより感じられるかもしれない。

片やブルックリン・ブルワリーの中でも一番の新商品であるパレンケは、スダチのような見た目ながら果汁が多いキーライムと塩をメスカルの樽で熟成したサワービール。世界的にブームがきているサワービールとメスカルの両方を掛け合わせた意欲作で、色はサワービールとしては濃いめ。ボトルの下に行けば行くほど、オリが溜まり色が濃くなるが、これは酵母が残っていて瓶内発酵が進んでいる証拠だ。カテゴリー的には賞味期限のないビールで、コルクで栓をしているから、開栓しない限り発酵はずっと続くという。果汁を感じながらもアガベ由来のちょっと甘い感じも味わえる甘酸っぱい感じで、今回の3種の中では個人的に一番飲みやすく感じられた。ただし、パレンケのみシャンパンボトルのようなビッグボトル(750㎖)での販売で、価格は税抜4,500円とビールとしては高額なのをお忘れなく。

個人的にはパレンケが気に入ったが、酸っぱいという共通点以外は正直それぞれの味の方向性が違うので、これは実際に飲んでみて自分のお気に入りを見つけるしかなさそうだ。しかし今のところ、ベルエアサワー以外はBでしか飲むことができない。大手を振って飲み比べできる日が早く来るように、一日でも早い新型コロナウイルスの収束を祈るとしよう。

せっかく「B」を訪れたなら、日本ではここでしか飲めないサワービール、ブルックリン ロゼデヴィル(右)、ブルックリン パレンケ(左)との飲み比べは必然。材料が違うとまったく違う味わいが愉しめるのがサワービールの面白いところ。また酸味が前提のサワービールは甘いリキュールとの相性もよく、カシスや梅酒、杏露酒などと合わせてビアカクテルにして飲むのもオススメ。アメリカのブルックリン・ブルワリーでは、アペロールというオレンジのリキュールとベルエアサワーを合わせたビアカクテルも出しているそうだ。

酸っぱいサワービールにぴったりなフードといえば、やっぱりタコス。サルサ味の挽肉とチーズを挟むイメージが強いが、本場メキシコでは肉だけでなく魚や野菜など、実に様々な具材で食べられている。Bでは「北出食堂」の北出シェフ監修による10種以上のタコスメニューを用意。今回はこちらの2種類のタコスをオーダーした。左/アルパストール 山形県産米沢豚のメキシカンソースマリネ 350円(税抜)、右/ティンガデポヨ 燻製唐辛子とトマトのマリネチキン 350円(税抜)。サワービールと肉料理は相性がよく、口の中に残った油分を酸味がさっぱりとリセットしてくれるので、コッテリ系のメニューを頼んでも大丈夫。

赤キャベツとチーズのコールスロー 600円(税抜)。さっぱり系のこちらもサワービールにピッタリなメニュー。コールスロー自体が酸味のあるサラダだから、サワービールに合わないわけがない。このほかにも、実はチーズケーキなどのデザートも相性がいい。酸味のあるニューヨークチーズケーキは、サワービールとまさにベストマッチ。同じく酸味のあるフード、中でも発酵由来の梅干しや漬物などとのペアリングは、発酵させたもの同士の組み合わせだから最高だとか。

ブルックリンベルエアサワーを片手に満面の笑みの、ブルックリンブルワリー・ジャパン社アカウントダイレクター 金(キム)さん。見た目は豪快なイメージだが、ビールやフードに対する情報は繊細な部分まで、すべて頭の中に蓄積したスーパーウーマン。この日はブルックリン・ブルワリーの歴史やサワービールとフードのマリアージュなど、様々な知識を楽しいトークで披露してくれた。

京都・東九条のホテル「HOTEL SHE, KYOTO」と人気イラストレーター・たなかみさき氏とのコラボレーションで誕生したグッズ。Bでは、たなか氏のイラストが描かれたコースターやポストカード、ステッカーなどが手に入る。

左から、ブルックリン ロゼデヴィル 900円(税抜)、ブルックリン ベルエアサワー 900円(税抜)、ブルックリン パレンケ/4500円(税抜)※ブルックリン パレンケはビッグボトルのみでの販売。

「B(ビー)」概要
場所/東京都中央区日本橋兜町3-5 「K5」地下1階
TEL/03-6661-0616
営業時間/月曜~金曜 16:00~22:00(LO 21:30)、土曜~日曜 13:00~22:00(LO 20:30)
定休日/年中無休(変更の可能性あり)
ブルックリンブルワリー・ジャパンHP
brooklynbrewery.jp/




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