
「肥満」と「肥満症」は違う? 正しい知識で健康寿命の延伸を 秋田で啓発イベント開催
日本イーライリリー株式会社と田辺三菱製薬株式会社は、肥満症の啓発を目的とした一般生活者向けイベント「『その肥満、肥満症かも!』プロジェクト in 秋田」を、10月31日(金)から11月2日(日)までの3日間、イオンモール秋田(秋田県秋田市)で開催している。
このプロジェクトは、肥満症に対する社会的な認知度の低さや、「自己管理の問題」といった偏見(スティグマ)が課題となる中、立ち上げられた。太っている状態を指す「肥満」と、医学的な治療が必要な「肥満症」との違いや、その原因、治療法についての正しい理解を広め、肥満症の人が生き生きと活躍できる社会の創造を目指すものである。
開催地となった秋田県は、厚生労働省の調査で肥満者の割合が31.2%と全国平均を上回る。また、平均寿命・健康寿命が全国と比べ下位にあり、その背景に肥満症を含む生活習慣病のリスクが指摘されている。こうした状況を踏まえ、県民が気軽に肥満症への理解を深める機会を提供することで、健康寿命の延伸に貢献したいという思いから、秋田での開催が決定した。
「肥満」と「肥満症」の決定的な違い
イベント会場では、田辺三菱製薬株式会社の早田達哉氏が、肥満と肥満症の違いについて解説してくれた。

田辺三菱製薬株式会社 CEOオフィス PRグループ グループ長の早田達哉氏
「いわゆる『肥満』とは、身長と体重から算出されるBMI(体格指数)が25以上の状態を指す。一方、『肥満症』はBMI25以上に加え、高血圧や脂質異常症、2型糖尿病など11種類の健康障害のうち1つ以上を合併している状態だ」と早田氏は説明する。
さらに、現時点で健康障害がなくても、腹囲が男性85cm、女性90cm以上の「内臓脂肪型肥満」の場合、将来的に健康障害を発症するリスクが高いため「肥満症」と診断され、治療の対象となる可能性があるという。
肥満症は、単に太っている状態とは異なり、治療が必要な疾患である。放置すると、ドミノが倒れるように次々と健康障害を引き起こす「メタボリックドミノ」と呼ばれる状態に陥り、慢性の腎臓病や動脈硬化、さらには脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる深刻な病気につながる危険性がある。そのため、早期の予防・改善が極めて重要となる。
また、肥満症の原因は「自己責任」と捉えられがちだが、実際は食事や運動といった生活習慣だけでなく、遺伝、ライフスタイル、環境、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に関わり合っている。個人の努力だけでは改善が難しい場合もあり、食事療法や運動療法で目標を達成できない場合には、薬物療法や外科療法も検討される。早田氏は、「肥満症かもしれないと思ったら、一人で悩まずにまずはかかりつけ医や専門医に相談してほしい」と呼びかけた。
見て、触れて、学べる。楽しみながら理解を深める会場
イベント会場には、肥満症について来場者が楽しみながら学べる工夫が凝らされている。

ひときわ目を引くのは、運動する女性の体に黄色いバンドが巻き付いたオブジェだ。「運動しても、食事制限しても、なかなか減量できない…」という悩みを表現しており、減量しようとしても体が抵抗し、元に戻ろうとする生物学的な反応を象徴している。フォトスポットにもなっており、多くの来場者が関心を寄せていた。
また、肥満から始まる健康障害の連鎖を表現した「メタボリックドミノ」のオブジェや、肥満と肥満症の違いを学べるクイズコーナーも設置。子どもから大人まで、誰もが直感的に肥満症のリスクを理解できるようになっている。

「メタボリックドミノ」のオブジェ。

クイズに真剣に取り組むご夫婦。
肥満症は、正しい知識を持つことで予防・改善が可能な疾患だ。このイベントは、多くの人が自身の健康を見つめ直し、必要であれば医療機関に相談するきっかけとなるだろう。プロジェクトが目指す、肥満症への偏見がなくなり、誰もが健康に活躍できる社会の実現に向けた重要な一歩となることが期待される。
| 「『その肥満、肥満症かも!』プロジェクトin秋田」 概要 | 
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| 日時/2025年10月31日(金)・11月1日(土)・2日(日)10:00~18:00 場所/イオンモール秋田 2階 未来屋書店前(〒010-1413 秋田県秋田市御所野地蔵田1丁目1−1) | 

