<コラム>こんな時期だからこそ贅沢な時間を過ごしたい スペシャルティコーヒーで心ときめく特別なコーヒータイム

写真上/「丸山珈琲 西麻布ショールーム」で試飲したスペシャルティコーヒー。各国の優勝ロットが並んでいるが、それぞれの色の濃淡の違いがわかるだろうか。

ついに2回目の緊急事態宣言となってしまった。今のところ対象は関東の1都3県だけだが、今、全国的に緊張感が走っているのではなかろうか。このような状況下、われわれ一市民ができる最善のことは不要不急の用事がなければ、できる限り“家にいる” こと。まずは、感染リスクをできる限り少なくすることに限る。

初めての体験だった前回の緊急事態宣言下では、どう生活すればいいのかまったくもってわからず不安だらけだったが、今回は2回目。とにかく感染しないために、家という安全な場所で自粛期間を心穏やかに過ごすことを優先したい。

とはいえ、かくいう私もコロナ禍ではほとんどが在宅ワークで、自宅のリビングの一角は完全に仕事用のスペースになってしまった。というのも、異常な暑さだった昨夏は、仕事部屋であるエアコンのない(エアコンをつけっぱなしで寝るからと家族に反対されたため、設置を断念)自室での作業は不可能で、気がついたらそのままリビングに居ついてしまったのだ。そして冬になった今では、リビングの暖かいコタツで作業している。

そんな生活をしていて痛感したのが 、“ステイホームだからこそ、オンとオフの切り替えが必要” ということ。だって家の中にはテレビはあるしベッドもあって、好きなドラマやバラエティ番組は見放題、眠くなったらいつでも寝られる環境が整っている。気を許したら最後、仕事そっちのけで本能の赴くまま自堕落な生活を送ってしまうことになってしまう。

ということで、欲望に負けずに仕事するため自分へのご褒美を用意し、それを目標に頑張ることにした。私にとってのご褒美とは、タイトルにも書いたコーヒータイムだ。
酒やタバコ、紅茶、清涼飲料水など、世の中には嗜好品と呼ばれるものが様々あるが、そのほとんどを嗜み、こよなく愛する私の中で、コーヒーは飛び抜けて別格扱いの特別なもの

エチオピア カップ・オブ・エクセレンスでの様子。栄誉ある国際品評会で笑顔を浮かべる優勝者たち。

そんな私のコーヒーの淹れ方はこうだ。

①手動式のミルにコーヒースプーン3杯分の豆を投入して挽く。
②一人前用の陶器製ドリッパーに三人前用のペーパーフィルターをセットし、挽いたコーヒーを入れ、大きめのマグカップにセット。
③沸騰したお湯を緑茶用の急須に溢れるまで入れ、急須からコーヒー全体にお湯をかけてしばらく蒸らす。
④蒸らしたコーヒーの中央部に、ゆっくりと小さな円を描くように急須からお湯を注ぐ。
⑤フィルターの縁ギリギリまでコーヒーのドームが膨らんだら、マグカップの7分目くらいまで抽出されるのを待つ。
⑥7分目までいったら、フィルターの中にお湯が残っていてもドリッパーを外す。
⑦最後にマグカップのコーヒーに急須のお湯を15ccほど注ぐ。

こんな面倒くさい淹れ方をする理由は、

①薄いコーヒーは嫌だから
②ドリップするのは1杯分だけど、豆は3杯分だから
③④ヤカンよりも急須のほうが細かい注ぎ方ができるから
⑤コーヒーが大きなドームになることで全体的に成分が抽出されているように感じるから
⑥美味しい成分は最初に抽出され、後半は雑味だけしか出てないから
⑦濃縮されたコーヒーを、雑味がなく透明感のあるお湯で薄めて柔らかくしたいから

という完全に自己流&自分勝手な解釈の淹れ方だが、自分としてはこれが一番美味しいと感じていた。ここで「感じていた」と過去形で描いたのにはわけがある。淹れ方ではなく、豆のチョイスが間違っていたのに気づいたのだ。

COEの国際審査員でもある丸山珈琲の社長・丸山健太郎氏。丸山珈琲の公式サイトでは、「ニグセ・ゲメダ 2020年エチオピア COE1位」について解説する動画も見られる。


そのきっかけは、昨年末に行われた「丸山珈琲 西麻布ショールーム」での試飲会。この日は「2020年エチオピア カップ・オブ・エクセレンス(COE)」の優勝ロットの共同落札に丸山珈琲が成功したことを記念して、各国の優勝ロットの飲み比べが開催された。

用意されたのは件のエチオピアをはじめ、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカの5カ国のスペシャルティコーヒー。飲み比べの方法は国際的な品評会であるCOEと同様、ドリップではなくポットに浸かったコーヒーのうわずみをすくってカップに移して試飲するという本格的なもの。

そこで気づいた。5つとも酸っぱい。そして飲んだ後は口の中に甘さが残る。なんと驚いたことに、コーヒーの審査基準のひとつとして酸味の質も重要らしいのだ。

自分がこれまで好んで飲んでいたのは苦味の強いコーヒーで、どちらかというと酸味の強いものは避けていた。なぜなら、まだ子どもの頃に初めて飲んだコーヒーの記憶が苦い飲み物で、よくある歌の歌詞でも昔から「苦いコーヒーを〜」なんてものが多いので、そう擦り込まれていたのだ。

よくよく考えたら、初めてのコーヒーは技術的にもまだ発展途上だったインスタントコーヒーを、本当の味なんてわかっていない人がお湯で溶かしたものだったから苦味が強かったのかもしれない。それでも「苦いコーヒーを美味しいと思える大人になりたい」なんてことを夢見て成長し、「苦いコーヒーじゃなければ許せない」なんて間違った味覚が培われたわけだ。

「それでも自分が好きなら苦いコーヒーでいいじゃん」と言う人もいるが、やはり一度本物を知ってしまった今ではそうはいかない。例えるなら、海外の日本食店の味が最高だと思って来日した外国人が、本物の日本食を食べたことで間違いに気づくのと同じようなものなのだ。

ようやく本当のコーヒーの味の奥深さに気づいたことで、自分の中でのコーヒーに対する探究心はますます前進することになった。ただ、この本物のコーヒー、気安くガブガブとは飲めないくらい高価。そんな理由で、この特別なコーヒーが飲めるのは週に1回、自分が頑張ったと思えた時のご褒美とすることにしたというわけである。

「ニグセ・ゲメダ 2020年エチオピア COE1位」。手前の小さいパッケージは40g 5,400円(税込)。奥の大きいパッケージが80g 10,800円(税込)。

丸山氏が熱く語る、カップ・オブ・エクセレンス2020年優勝ロット「ニグセ・ゲメダ 2020年エチオピア COE1位」詳細ページはこちら。
maruyamacoffee.com/ec/feature/3611

丸山珈琲
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