• HOME
  • コラム , 特集
  • <コラム>『DISCOVER YOUR CROWN. THE ROADSHOW.』代官山で新型クラウンに乗ってきた!

<コラム>『DISCOVER YOUR CROWN. THE ROADSHOW.』代官山で新型クラウンに乗ってきた!

団塊ジュニア以前の60年代後半に生まれた私にとって、トヨタ・クラウンといえば「いつかはクラウン」。でも運転免許を取得した80年代は、プレリュードやシルビアなどのデートカー、スープラやフェアレディZ、復活したスカイラインGT-Rといった走りに特化したクルマが人気で、二十歳そこそこの大学生だったカローラFX乗りの私は「次はスープラかGT-Rに乗りたいな」なんてことを夢見てバイトに明け暮れていたのだが、その選択肢の中にクラウンは入っていなかった。なぜなら、当時の私にとってクラウンは“成功の証”。まだ社会人にすらなっていない若造が手に入れたいなんて思ってはいけないほど、クラウンは崇高なものだったのだ。

時代は変わって時は令和。あの頃、“成功を手に”とおぼろげに想定していたはずの50代になったものの、現実は甘くなく、乗り継いできたのは国産車よりも車体価格が激安な中古の欧州車ばかり。おまけについ先日まで乗っていたジャガーは、車検を通すための整備費用が2年前に購入した時の支払総額を超えることが判明して手放してしまった。

そんな私の、いや私だからこその夢は“国産車を手に入れること”。だって壊れにくいし、もし壊れても部品が手に入りやすいし、なんといっても燃費がいい。ジャガーはカタログ値でリッター7キロ、その前に乗ってたサーブは実質リッター4キロで、ちょっとお出かけしただけなのに一日に二回ガソリンスタンドで給油するなんてこともザラだった。それが何ですか? 今の国産車の燃費のよさは。リッター20キロ超えなんて珍しくないし、ハイブリッド車なら最後に給油したのはいつだかわからないなんてこともあるそうじゃないですか。

まあこれはイマドキの国産車全般について私がもつ勝手なイメージなのだが、そんな中、本来なら50代になって成功した自分が乗っていたかもしれないクラウンの16代目になる新型に試乗させてもらえる機会を得た。場所は東京・代官山。前日からワクワク感が止まらない。やっぱり世代的に、潜在意識の中で憧れてたんだろうな。

10月22日の土曜日。普段なら昼ごろまで寝てる週末なのに、珍しく目覚ましのアラームなしで早朝に起床。手早く準備を済ませ、いざ代官山へ。電車を乗り継いで試乗会場の代官山 T-SITEに到着すると、なにやら人だかりが。どうもこの日は試乗会だけでなく、新型クラウン発売を体感できるギャラリーやトークショーなど、さまざまなイベントが開催されているようだ。

代官山 蔦屋書店前には、新型クラウンを見ようと多くの人が集まっていた。※写真は2日目(10月23日)の様子。

そこで、まずはギャラリーへと足を運ぶことに。新しいクラウンのブランドストーリーを体験するスペシャルギャラリーでひときわ目を引くのが、クラウンのブランドストーリーが綴られた巨大BOOK。1955年発売の初代クラウンから16代目の新型クラウンまでの歴史を、超大判の誌面で見ることができた。

クラウンのブランドストーリーが綴られた巨大BOOK。

ギャラリーにはクラウンに関するさまざまな資料が展示されていた。奥の壁にはカラーリング分けされた新型クラウンのミニチュアカーも。

10月22日にはカメラマン長山一樹氏とチーフデザイナー宮﨑満則氏のトークイベントも開催された。

時刻は11時20分。いよいよ自分の試乗時間だ。はやる気持ちを抑えながら、試乗車の待つ駐車場へ。待ち受けていたのは、ボディカラー ブラック×プレシャスレイの新型クラウン CROSSOVER RS “Advanced”だ。

新型クラウン CROSSOVER RS “Advanced”。ボディカラーはブラック×プレシャスレイだ。

自分も含めて、テレビCMなどで見て「クラウンっぽくないなぁ」という印象をもった人が多いかもしれない新型クラウンだが、実際に目の当たりにするとそれが間違いではないことを確信。これまで抱いていたクラウンのイメージとは全然別物だ。だが、カッコいい。今年7月に開催の発表会では、今回の新型クラウンはクロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの4モデルがラインアップとアナウンスされたが、9月から販売開始となったのはクロスオーバーのみで、あとの3モデルは来年以降の発売を予定しているそう。いま目の前にあるのは、テレビCMで見た人を驚かせたクロスオーバーなのだが、画面越しの映像で見るよりも実物のほうが近未来感が感じられる。私は別にモータージャーナリストでもなく、クルマ専門誌の編集者でもないので、世の中のクルマ好きや熱狂的なクラウンファンに対してカケラほども影響力がないことを前置きしつつ、正直な印象を言わせてもらえば、「これはコンセプトカーですか?」。けなして言ってるのではなく、それほど斬新でカッコいいと思ったのだ。

ではでは、さっそく車内に乗り込んでみましょうか。まずは試乗インストラクターの方にエンジンの掛け方からシートの調整、そしてシフトノブの使い方を教えてもらうことからスタート。運転席回りはシンプルで、大きなナビがひときわ目を引く。画面はすごくキレイで、感動するほどとても見やすい。バックミラーに映っているのは車体後部カメラの映像で、普通の鏡では見えにくい夜の背後もクリアに見えそうだ。エンジンはハイブリッドなので、電気モーターが優先される走り出しはスムーズで音も静か。そのまま公道に出て走り進めると、周囲からの視線がバリバリと感じられる。やはり、この近未来的なスタイルのデザインは注目を集めてしまうようだ。

新型クラウン CROSSOVER RS “Advanced”の運転席。大きなナビ画面が目を引く。

少し後ろ側に設置されたドアミラー。こうすることで、死角になっていた斜め前方が見えるように。ちょっとしたことだが、安全性がアップするのはうれしい。

走っていて感じたのは、大きな車体なのにそれを感じさせない動きを見せるところ。ハンドルも手にしっくりくる手触りで、微妙な動きで回してもそれに合わせてタイヤは素直に追随してくる。いきなり何が飛び出してくるかわからない都会の狭い道路でも、焦ることなくハンドルが捌けそうだ。「やはりクラウンは落ち着いた大人のためのクルマだなぁ」なんて考えながら走っていると、助手席でナビゲーションしてくれていた試乗インストラクターの方が周りに走っているクルマがいなくなったのを見計って、「軽くアクセルを踏み込んでみてください」と声を掛けてきた。言われるがまま、アクセルを踏み込む。するとどうでしょう、カラダがシートにめり込むような加速を見せてくれるではないですか。グラフに例えると、放物線を描くような加速ではなく、踏み込んだアクセルの角度に合わせたような直線的な加速といえばわかりやすいだろうか。

手にしっくりくるハンドルは、微妙なハンドル捌きをしなければならない時でも使いやすい。

平日は小回りも利く足として、休日は遠出して実力を解放するマシンとして、まったく違う表情を見せてくれる新型クラウン。これは、大きな車体を持て余している欧州車ユーザーにぜひ試してもらいたい一台だ。

DISCOVER YOUR CROWN.
toyota.jp/info/crown_brand/?padid=from_crownBrand_event0301_footer_brandTOP