世界初!? オンラインブレンドのボージョレ・ヌーボー サッポロビール × 仏ラブレ・ロワ社の挑戦
今年のボージョレ・ヌーボーの解禁日は11月18日(木)。世界で一番早くこの日を迎える日本では例年盛り上がりを見せるが、やはり世界的なコロナ禍はここにも大きな影響を及ぼしているようだ。
2019年にサッポロビールと仏ラブレ・ロワ社は共同でブレンドを行い造り上げたコラボレーションヌーボーを発売しているが、昨年はコロナ禍のため共同ブレンド商品の発売製造を断念した。
本来であればサッポロビールの醸造家がフランス入りし、仕込んだワインの原酒を、ラブレ・ロワ社の醸造家とともにブレンドして目指すワインを仕上げるのが常道だが、世はコロナ禍。そこで今回、初のオンラインブレンドが実施されることになった。
なお、今年はフランスでの春先の気候不順で収穫量は非常に少ないものとなってしまったという。だが8月以降回復した天候のおかげで量的には少ないものの、質的には高水準なぶどうが収穫できたそうだ。
オンラインブレンド担当者
サッポロビール 久野靖子氏
2004年 サッポロワイン株式会社入社。
ワイン専任営業、マーケティング業務のオフィスワークを経て、フランスにワインの勉強のため単身で留学。ボルドー大学でDUADを取得した後、帰国。岡山ワイナリーのワイン醸造家。現在日本を代表する女性醸造家の一人。グランポレールブランドのマネージャーとしても活躍。
ラブレ・ロワ社 ブリジット・プッツ氏
1982年 ブドウ生物学課程修了、フランス国家資格ワイン醸造士(D.N.O.)取得
1982年~1993年 メゾン・フランソワ・ショーヴネ(ニュイ・サン・ジョルジュ)の醸造家
1993年~2004年 メゾン・ルイ・マックス(ニュイ・サン・ジョルジュ)でテクニカル・ディレクターを務める
2004年~ SA.GIBOURG(モレ・サン・ドニ)で輸出部長として勤務
2006年~ メゾン・ルイ・ヴィクトール(ボーヌ)の支配人兼醸造家を務める
2013年~ ドメーヌHM(ニュイ・サン・ジョルジュ)で、テクニカル・ディレクターを務める
オンラインブレンドの流れ
<準備>
発酵が終わったばかりのワインの原酒を日本に空輸。ブレンド当日、双方が事前にテイスティングし、特徴を掴む。
<本番>
①お互いに原酒に対するコメントを出し合い、品質を確認。
②久野氏から最初の比率と目指すワインを提案。
③双方でシリンダーを使って混ぜ合わせ、テイスティング。コメントを出し合い、修正すべき点から次の比率を検討。
④③を繰り返し、これ以上品質が向上する見込みがなく、コンセプトと相違ないことを確認・納得して採用に。
オンラインブレンドで作られたヌーボー
マコンヴィラージュ・ヌーボー
オープン価格 750ml
ブリジット・プッツ氏のコメント
香り豊かなワインを造りたかった。香りの主要をなしているのは柑橘類で、若干りんごのニュアンスを感じることができる。非常に冷涼な気候で、酸度の高い、フレッシュさをもったワインを造ることができた。これから成長が期待できるワイン。
久野靖子氏のコメント
柑橘の香りを全面に出したいと思ってブレンドした。口の中で、溌剌とした酸味、刺激的ではなく活き活きした酸味。余韻まで持続する食事にあうワインの特長を目指して実現できました。おすすめ料理はハム、サラミ、生のお魚を使ったカルパッチョ、牡蠣フライ。
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー
オープン価格 750ml
ブリジット・プッツ氏のコメント
果実の色は非常に強く、バイオレッド味をおびた赤色で、ガメイの特長をあらわしたものになっています。香りは赤い果実ミルティーユ、フランボワーズ、興味深い香りをしています。口に含んだ印象は香り豊かでなめらか、まさしく新酒としての特色をあらわした香りに仕上がりました。
久野靖子氏のコメント
非常にエレガントな仕上がり。カシス、フランボワーズ、すみれ等、ヌーボーらしい香りが特長。今年はフローラルの香りがその上にのっており、上品なワインに。口に含むと様々な要素を感じられる、密度の高い味わい。おすすめ料理はアジアンな料理、ハンバーグ、クロックムッシューなど。
コロナ禍ではリモートワークやリモート授業など、オンラインを駆使することで実際に会わなくてもできることが増えたが、まさかワインのブレンドまでできる日が来るとは驚きだ。あとは11月18日の解禁を待って、その出来上がりを舌で確かめる瞬間を心待ちにしたい。
サッポロビール(株) sapporobeer.jp/ |