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L-アルギニンがシャルコーマリートゥース病の運動機能や生存率を改善する可能性を発見

鹿児島大学病院 脳神経内科の研究グループが、MFN2遺伝子の異常による遺伝性末梢神経障害「シャルコーマリートゥース病(CMT2A)」に対し、アミノ酸の一種であるL-アルギニンが運動機能や生存率を改善する可能性を明らかにし、新たな治療法の候補となる可能性を示しました。

概要

鹿児島大学病院 脳神経内科の研究グループは、遺伝性末梢神経障害「シャルコーマリートゥース病(CMT2A)」に対する新たな治療候補として、L-アルギニンの効果をショウジョウバエモデルで検証しました。その結果、L-アルギニンが運動機能や生存率を改善する可能性が示されました。
研究概要:ショウジョウバエモデルにおけるL-アルギニンの治療効果検証
研究成果:運動機能および生存率の改善、新たな治療候補となる可能性

研究の背景

遺伝性末梢神経障害(IPN)は、四肢遠位の筋力低下や感覚障害を呈する疾患群であり、シャルコーマリートゥース病(CMT)がその代表です。MFN2遺伝子の機能異常はミトコンドリアダイナミクスの破綻を引き起こし、神経変性の原因となりますが、有効な治療法は確立されていません。一方、L-アルギニンはミトコンドリア関連疾患であるミトコンドリア脳筋症(MELAS)において臨床応用されており、その有効性が報告されています。このことから、ミトコンドリア機能異常を背景とする遺伝性ニューロパチーに対する治療候補としてL-アルギニンに着目しました。

研究成果の詳細

本研究では、ショウジョウバエにおいてMFN2の相同遺伝子(Marf)を神経特異的に抑制したモデルを用い、L-アルギニン投与の効果を検討しました。
発達段階での改善:
高用量L-アルギニン(10 mg/mL)により、蛹化率および羽化率が有意に改善しました。
運動機能の改善:
成体では時間経過とともに運動機能が低下しましたが、L-アルギニン投与により、特定の時点で運動機能の改善が認められました。具体的には、day11では0.1 mg/mLおよび10 mg/mLのアルギニン投与群で、day17では1 mg/mL群で顕著な改善が確認されました。
生存率の改善:
高用量L-アルギニンにより生存期間の延長が認められ、特に早期死亡の抑制効果が示唆されました。
ミトコンドリアストレス下での効果:
ミトコンドリア複合体I阻害剤であるロテノンにより生存率が低下しましたが、高用量L-アルギニンにより生存率は有意に改善しました。

今後の展望

本研究は、CMTの治療法開発においてミトコンドリア機能に着目し、MFN2関連遺伝性ニューロパチーに対する新たな治療候補としてL-アルギニンの有用性を示しました。ミトコンドリア機能異常に対する代謝的アプローチにより、神経細胞の生存を改善し得る可能性が示唆されています。今後は、作用機序の解明を進めるとともに、他のモデル動物を用いた検証を行い、臨床応用に向けた研究を発展させていく予定です。

まとめ

鹿児島大学病院の研究グループは、シャルコーマリートゥース病(CMT2A)モデルショウジョウバエにおいて、L-アルギニンが運動機能や生存率を改善する可能性を明らかにしました。これは、CMT2Aに対する新たな治療法の開発につながる可能性のある重要な発見です。

関連リンク

https://doi.org/10.1016/j.neurot.2026.e00900