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福知山、綾部、舞鶴 もうひとつの京都で明智光秀ゆかりの地を巡る

とりなご久兵衛

パッと見で何の店だかわからない店構えは名店の証。とりなご久兵衛も例に漏れず、ひと目見ただけではわからない。

福知山のグルメといえば「鳥名子」の鴨すき。恵比寿や三軒茶屋にも支店ができ、今では東京でも食べられるようになったそうが、まだ食べたことがないし、せっかく本拠地に来たからには地元で食べてみたい。ということで向かったのが、「鳥名子」の系列店「とりなご久兵衛」。

福知山の商業の礎を築いた片岡久兵衛の本宅を修復した同店は、今年6月にオープンしたばかりとはいえ旧家の気品と趣が漂う素敵な造り。入り口に足を一歩踏み入れた瞬間からその空気感に圧倒され、心なしか背筋がピンと伸びているのが自分でもわかる。「こりゃ気合いを入れて立ち振る舞わなきゃならないぞ」なんて考えながら店内に入ると、どうも想像していた雰囲気と様子が違うことに気づいた。高級店にしては店員さんがフレンドリーなのだ。それに、通された客室の隣の大部屋ではおそらく家族四世代と思しき集まりの会が催されているようで、普通にイタズラ盛りの子どもたちもいるし、サラリーマンの飲み会のような集まりも来店しているではないか。

「こんな高級店なのに、普通の人たちが普通に来店している。なぜ?」という疑問は、テーブル上のメニューを見た時に解決された。価格設定がリーズナブルなのだ。鴨すきが一人前3,000円(注文は二人前から)。追加の鴨肉は2,000円。締めに鍋に入れるラーメンやうどんに至っては、なんと300円と書かれている。だからみんな気軽に食べに来ているわけだ。

といったところで、気になる鴨すき。料理名に「すき」とあるので勝手にすき焼きのようなものを想像していたのだが、運ばれてきたのは醤油ベースの出汁に薄切りの鴨肉をくぐらせるしゃぶしゃぶスタイル。ただ、鍋の中の出汁自体に味がついているので、湯にくぐらせた後につけ汁で味をつけるしゃぶしゃぶとはちょっと違う。鴨肉は15秒、肉とともに口に入れるネギは5秒がくぐらせるベストタイムだそう。口に入れると、薬味と食材の中間に位置する瞬間のシャキッと感が残ったネギの香りと、硬くない鴨肉の旨みがハーモニーを奏でる。おそらく「これが鴨肉の究極の食べ方」と表現するのが適切ではなかろうか。これまで鴨せいろの煮込んで硬くなった鴨が旨いと感じていた自分を少し恥じてしまった。

こちらがとりなご名物の「鴨すき」(写真は二人前 6,000円)。具材は鴨肉とネギ、豆腐だけのシンプルな構成ながら、鍋の出汁に染み出した鴨の旨みとあっさりとしたネギの食感がベストマッチでいくらでも食べ続けられる。

とりなご久兵衛
京都府福知山市字下柳12
TEL/0773-23-1366
instagram.com/torinago_kyuubee/

福知山イル未来と

ピンク色に照らされた福知山城。戦火の最中の城は、こんな感じだったのだろうか。

お腹いっぱい鴨すきを食べたあとは、再び福知山城へ戻ることに。お店を出るとあたりはすっかり夜なのに、なぜ再びお城へ? 答えは期間限定で福知山城がイルミネーションで彩られているから。この「福知山イル未来と2020」は福知山公立大学が中心になって行われる光のイベント。例年は数日間のみの開催だが、今年は新型コロナウイルスの影響で、密を避けるため期間を一カ月間に伸ばして11月7日まで開催するという。興味のある人はぜひ。

プロジェクションマッピングで照らされ幻想的なイメージになった登城坂(下は動画)。

福知山イル未来と2020
facebook.com/fukuchiyamaillumi/

福知山観光協会
dokkoise.com/