【調査報告】コロナ禍を経て、ハロウィンは親子で楽しむイベントに変化?

10月最大のイベントといえばハロウィン。記者をはじめ昭和40年代生まれのおじさんにとっては、お祭り騒ぎというよりジャーマンメタルのバンド名、もしくはDJポリスの印象が強いのだが、コロナ禍以降は渋谷の街を混乱に陥れたあの大狂乱は影を潜めてきたのではなかろうか。そんな中、全世界の登録ユーザー数が5,500万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」の運営・開発を行う株式会社TimeTreeの社内研究所『TimeTree未来総合研究所』(https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute)が、TimeTreeユーザーの予定動向をまとめた「未来データレポート」の10月版を公開。そこには2019年から2024年の予定データを分析することで近年のハロウィンのトレンドの変化を明らかにするとともに、国内外のユーザーのハロウィンに関する予定を比較することで、日本と海外のハロウィンの違いについても調査したレポートが掲載されていたので紹介しよう。

■分析データについて
・2019年1月1日~2024年9月30日の期間で登録されたデータを対象として分析
(登録ユーザー数は2019年1月時点で1200万超、2024年9月時点で5500万超)
・分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理

コロナ禍で激減したハロウィンの予定は回復基調
今年は2019年に比べ10代の予定数激減の一方で30代は約1.7倍に


まず最初に2019年から2024年の各年9月30日時点で登録されている「ハロウィン」を含む予定の数が、毎年どのように変化したのかを調べたところ、ハロウィンの予定数はコロナ禍を機に激減した後、2022年以降は回復基調となり、今年は2019年に迫る勢いになっていることがわかった。


一方、より詳細に世代別で登録予定1万件あたりの「ハロウィン」を含む予定の出現数の推移を見ると、2019年には40代に続いて2番目に多かった10代の予定出現数が2021年以降は激減し、反対に30代の予定出現数は大きく伸びていることがわかった。


また、10月31日に入っている予定のランキングTOP10を世代別で見てみると、2019年と2024年では大きな変化が見えた。10代のハロウィン関連の予定保有割合は総じて減少した一方で、30代ではハロウィン関連の予定の予定保有割合は増加する結果となった。


さらに、2024年の予定について「〇〇ハロウィン」や「ハロウィン〇〇」など「ハロウィン」を含む予定の件数ランキングを調査したところ、「英語」や「保育園」「学童」といった子供に関連する単語が含まれるものが多く、それらが上位に来る結果に。これらの結果から、主に10代の若者が楽しむイベントだったハロウィンはコロナ禍以降、小さな子どもとその親が楽しむイベントに変わりつつあるという兆しが見えてきた。

海外と比べたハロウィン事情
米英の「ハロウィン」予定数は日本の3倍以上


最後にハロウィンの本場である欧米圏と日本を含むアジアでは、予定登録数がどの程度違うのかを、TimeTreeのユーザー数が多い6つの地域(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・台湾・韓国)の2024年の予定データを比較することで検証してみた。その結果、日本はアジアの中では予定登録数が多いものの、アメリカ・イギリス・ドイツでは日本を大きく上回る数の予定登録があり、文化の輸入元である欧米圏と日本を含むアジア圏とでは大きな開きがあることがわかった。

TimeTree未来総研所長 深川泰斗さんのコメント
ハロウィンの起源は、2000年以上前に古代ケルト人がケルトにおける1年の終わりである10月31日に行っていた収穫祭「サウィン祭」であると言われています。

ケルト文化はその後キリスト教文化に吸収されていきますが、お祭りの実態はそのままに11月1日にある祝日「諸聖人の日(All Hallow’s Day)」の前夜(All Hallows’ Evening)を略した言葉である「Halloween」として欧米を中心に多くの国に定着していったそうです。

日本では1970年代に原宿の雑貨店がハロウィンを取り扱ったことをきっかけに文化が流入し始め、その後大手テーマパークでもハロウィンをテーマにしたイベントを実施し始めたことで定着したと言われていますが、文化が定着し始めてからの年月の違いが、今回の調査結果で出た国ごとの予定数の違いを生んでいると考えられます。

一方で今回の調査結果からは、ハロウィンの予定数がコロナ禍以降上り調子に増えていることや、ハロウィンが小さな子供とその親が楽しむイベントに変わりつつある兆しが読み取れました。今後今ハロウィンを楽しんでいる子供達が大きくなり、親の世代になる頃には日本におけるハロウィンも今以上に世の中に普及しているかもしれません。

今回の調査結果を眺めていて気づいたのだが、そもそもの起源は置いといたとしても、現代の欧米でハロウィンを楽しみにしているのは子どもたちのはず。だって、この日に限っては大人からお菓子を無条件でたくさんもらえるから。そう考えると、今の日本で親子が楽しむイベントに変わりつつあるのは、自然な流れなのではなかろうか。そういえば先日、近所の保育所の前に「ハロウィン当日は、子どもたちがお菓子をもらいに行きます」と書かれた貼り紙があった。地域柄、おじいちゃんやおばあちゃんが多く、ハロウィンをよくわかっていない可能性もあるのでそんな貼り紙を出していたのかもしれないが、それを見て思わず笑顔が出てしまった。欧米に比べると、まだまだ日本では本当の意味で浸透していない感のあるハロウィンだが、そのうち孫ができたらいっしょに楽しみたいと思った。

そしてもうひとつ。驚いたのが今回の調査方法だ。これまでは街頭アンケートや電話アンケート、ちょっと進化してインターネットアンケートなどで行われていた調査が、なんとカレンダーアプリの登録予定データから導き出されているというではないか。それはやはり、全世界の登録ユーザー数が5,500万人を超え、登録された予定データは100億超の「TimeTree」だからこそできる調査方法なのだろう。今やスケジュールは手帳ではなく、スマホに登録する時代。わざわざ嘘のスケジュールを自分のスマホに登録する人はまずいないので、TimeTree未来総合研究所が統計的に分析する予定データは、かなり信憑性が高いといえるだろう。TimeTree未来総合研究所では、これからも予定データから見える世の中の動きや未来の兆しを発信していくという。今後、同研究所が予定データからどんな調査報告をしてくれるのか楽しみだ。