「いきなり!ステーキ」第2章、開幕。神田に次世代型店舗が誕生——味と空間の“深化”に迫る

株式会社ペッパーフードサービスは、主力ブランド「いきなり!ステーキ」の“第2章”幕開けとなる次世代型店舗「いきなり!ステーキ 神田北口店」を、2025年12月24日(水)にグランドオープンする。

いきなり!ステーキ 神田北口店

オープンに先立つ12月22日には同店にてメディア向け発表会が開催され、登壇した一瀬健作 代表取締役社長 CEOは、創業以来のブランドの歩みを振り返りつつ、変化する外食市場や顧客ニーズに対応するための大胆な改革、「次世代型店舗」の狙いと背景について熱く語った。かつての急拡大路線から転換し、品質と体験価値を追求する「いきなり!ステーキ」の新たな挑戦。その全貌をレポートする。

創業からの軌跡と「体験価値」への回帰
株式会社ペッパーフードサービス 代表取締役社長 CEO 一瀬健作氏。

2013年12月、銀座に1号店をオープンした「いきなり!ステーキ」。前菜を抜きにして、厚切りのステーキをいきなり食べる——。この斬新なスタイルは、日本の外食シーンに大きな衝撃を与えた。「日本のステーキ文化を作りたい」という創業時の想いは、立ち食いスタイルから着席型への移行など、時代の変化に合わせて形を変えながら受け継がれてきた。

そんな「いきなり!ステーキ」だが、一時は500店舗まで拡大したものの、過度な出店やコロナ禍を経て、現在は国内170店舗体制へと縮小してしまうことに。しかし、一瀬社長はこれを「第2章の開幕」と位置づける。

「昨今の円安や食材高騰により、お客様が召し上がるステーキの量はかつての300gから200gへと減っています。それでも『ステーキを食べたい』というニーズに応え、限られた時間と量の中で、いかに満足度を高めるかが課題でした」

一瀬社長はそう述べ、ブランドを守り進化させるためのキーワードとして「品質」「満足度」「体験」の追求を挙げた。米国農務省認定のアンガスビーフ(CAB)など厳選された牛肉の使用や、店舗での丁寧な下処理といった“創業からのこだわり”は維持しつつ、提供方法や空間づくりにおいて抜本的な見直しを図ったのが、今回の次世代型店舗である。

味の均一化と効率化を実現する「調理DX」

次世代型店舗「神田北口店」の最大の特徴は、調理設備の革新にある。これまで「いきなり!ステーキ」の代名詞でもあった「チャコールブロイラー(焼き台)」を廃止し、新たに「スチームコンベクションオーブン」を導入したのだ。

スチームコンベクションオーブン

焼き台での調理は演出効果が高い反面、焼き手の技術によって味にブレが生じやすいという課題があった。「A店は美味しいがB店はイマイチ」といった顧客の声に対し、一瀬社長は技術継承の難しさや、ピークタイムにおける温度管理の限界を指摘する。

「スチームコンベクションオーブンは、260度の温度を一定に保ち、一度に20食分を焼き上げることが可能です。肉を入れてしまえば、あとは時間を管理するだけ。これにより、職人の技術に依存せず、誰が焼いても常に高品質で安定したステーキを提供できます」

最新の機器は開閉時の温度低下も防ぐ仕様となっており、表面はカリッと、中はジューシーな仕上がりを実現。あえて厨房を「セミクローズキッチン」とし、調理工程を見せないスタイルに変更したことも、顧客に食べることに集中してもらい、自身の食事の時間を楽しんでもらうための意図があるという。

「神田北口店」に見る、大人のためのモダン空間

次世代型店舗の1号店として選ばれたのは、ランチ激戦区である東京・神田。サラリーマン層が中心のエリアであえて勝負をかける背景には、新たなステーキ体験の価値を問う狙いがある。

店内に入ると、従来の「いきなり!ステーキ」のイメージを覆す、木目とブラック、アイアンを基調としたモダンで落ち着いた空間が広がる。特筆すべきは、座席の配置だ。通常なら50席以上確保できるスペースに、あえて38席のみを配置。ゆとりある空間設計がなされている。

「おひとり様でも隣を気にせず食事ができる広めのカウンター席や、ご家族やグループでくつろげるボックス席を用意しました。ただ食事をするだけでなく、お客様の大切な時間を有意義に使っていただきたい」

カウンター席には目線を遮る工夫が施され、混雑時のストレスを軽減。DXの一環としてスマホオーダーやセルフレジも導入し、スタッフの業務負荷を減らすことで、その分を接客サービスへと還元する姿勢を明確にしている。

圧巻のボリューム。新メニュー「骨付きリブロース」

この新たな船出に華を添えるのが、神田北口店オープンに合わせて導入される新メニュー、豪州産「骨付きリブロースステーキ」(税込6,800円)だ。

豪州産「骨付きリブロースステーキ」

約550g(骨付き)という圧倒的なボリュームを誇るこのメニューは、昨今の価格高騰の中でも「やっぱり厚切りステーキを食べたい」というファンの声、そして「ハレの日」の需要に応えるために開発された。

「正直、お値段は張ります。ですが、これだけ大きなお肉をシェアして食べる楽しさや、写真に撮って誰かに伝えたくなるような体験を提供したいと考えました」

この骨付きリブロースは、ディナータイムや週末のグループ利用を想定しており、グループでのシェアも可能。ワイルドな見た目とは裏腹に、リブロース特有の深い味わいと豊富な肉汁が楽しめる一品となっている。なお、本商品はテイクアウト対象外、店舗限定での提供となる。

「いきなり!ステーキ」大復活への狼煙

「かつて500店舗あった時代から、多くの店舗を閉店せざるを得ませんでした。しかし、財務状況も安定し、これからは1店舗1店舗を大切に、精度の高い出店を行っていきます」

一瀬社長は会見の最後をそう締めくくった。調理のDX化による品質の安定、ゆとりある空間設計、そして高付加価値商品の投入。「いきなり!ステーキ神田北口店」は、単なる新店舗ではなく、ブランドが目指す未来そのものを体現している。

「誰でも手軽に」から「誰でも、手軽に、そして快適に」。

第2章の幕を開けた「いきなり!ステーキ」の、再成長に向けた挑戦がここから始まる。

いきなり!ステーキ
https://ikinaristeak.com/