
日本のBBQが競技スポーツへ進化する!「JAPAN BBQ CHAMPIONSHIP 2026」白熱の6時間と感動のフィナーレ
近年、欧米を中心に「フードスポーツ」と呼ばれる新たな競技ジャンルが急速に拡大している。料理を「味・見た目・調理の正確さ」で点数化し、アスリートのように技を競い合う白熱のエンターテインメント。その世界最大の祭典「WORLD FOOD CHAMPIONSHIPS(以下、WFC)」には、毎年14か国以上から1,400人超のシェフやピットマスターが集結。観客動員・賞金規模ともに、食の競技イベントとして世界最大級を誇る。
そのWFCのBBQ部門、日本予選にあたるのが「JAPAN BBQ CHAMPIONSHIP(以下、JBBC)」だ。優勝チームに授与されるのは、米国本大会への切符、通称“GOLDEN TICKET”。2025年に幕張で初開催され大きな話題を呼んだ本大会の2年目となる今年は、さらにスケールアップして5月24日(日)、幕張豊砂公園に上陸した。今回は来場者が本格BBQを無料で体験できる新企画も登場。日本のBBQが、単なるレジャーから熱き”競技スポーツ”へと進化する瞬間。その熱狂の1日をレポートする。
| 世界で熱狂を生む「フードスポーツ」とは 料理を競技として捉え、統一されたルールと採点基準のもとでチームや個人が技を競い合うジャンルの総称。BBQ競技の世界では、米国のKCBS(Kansas City Barbeque Society)やSCA(Steak Cookoff Association)といった国際団体が詳細な評価基準を整備し、競技者の技術が正当に点数化される環境が確立されている。日本でも近年、KCBS公認大会が開催されるなど、文化が根付き始めた段階。JBBCはまさにこの流れを牽引する、国内では数少ないWFC直結の予選大会である。 |
己の誇りと技を肉に込める! 6時間のノンストップ・バトル

全国から選抜されたプロ・アマ混成の全8チーム。彼らに与えられた制限時間は6時間。指定された競技種目は「テールゲート」と「スペアリブ」の2部門だ。
審査は完全なるブラインドジャッジ。味(50%)、調理の正確さ(35%)、見た目(15%)の3項目で厳格に採点される。審査員にはKCBS Japan代表のジェイ・クロス氏、米国食肉輸出連合会(USMEF)ジャパンディレクターの加藤悟司氏、Weber Grill Ambassadorの小嶋亮太氏、バーガー専門家のハンバーガー女子®︎ Eri氏が名を連ねた。

(左から)ジェイ・クロス氏、Eri氏、加藤悟司氏、小嶋亮太氏。
競技エリアはまさに戦場。薪や炭の選定、徹底した温度管理、独自開発のラブ(スパイス)やソース、注入液(ウイスキーやバターなど)に至るまで、各チームの戦略は千差万別だ。煙が立ち込める中、“低温×長時間(ロー&スロー)”で大きな塊肉を極上に仕上げていく職人技。ピットマスターたちの真剣な眼差しは、まさしくアスリートそのものである。
味わい、遊び、体感する。熱気に満ちたフード&エンタメエリア
会場の楽しみは競技を観戦するだけにとどまらない。フードエリアには、姉妹大会「JAPAN BURGER CHAMPIONSHIP 2024」王者の「Harry’s Junction」や、昨年のJBBC 2025覇者「THE SMOKE CLUB」が出店。さらに、ブラジル製の巨大な回転式シュラスコグリル「Scheer(シーア)」の実演や、米国発のパーティゲーム「コーンホール」体験など、本場アメリカンBBQのカルチャーを肌で感じられるコンテンツが目白押しだった。

JBBC 2025覇者「THE SMOKE CLUB」のキッチンカー。

回転式シュラスコグリル「Scheer(シーア)」。

「コーンホール」体験

赤いスパークリングワインで有名なランブルスコのメディチ・エルメーテのコーナーでは、すべてのワインが試飲可能。記者も全種類を試飲させていただいた。

ステージでは、WFCに日本代表として2年連続出場し、100点満点を叩き出した経験も持つ実力派チーム「WAGYU BOYS」のRYOTA(小嶋亮太)氏、MICRO氏、KIM(木村敦)氏によるフードショーも開催された。

彼らが用意したのは、US産ビーフの「ブリスケット」。肩バラ肉の塊を、ウェーバーのグリルで庫内温度110〜120度に保ちながら、なんと15時間もかけてじっくりと焼き上げた逸品だ。
「ソルト、ペッパー、ガーリックをブレンドした『SPG』と呼ばれるラブをすり込み、たっぷりのスモークをかけます。表面の黒い部分は『バーク』と呼ばれ、決して焦げではなく、旨味成分が何重にも層になった証なんです」とRYOTA氏が解説。来場者に振る舞われた極上のブリスケットは、驚くほどの柔らかさと深いスモークの香りで観客を魅了した。

極上のブリスケットは来場者に無料で振る舞われた。
歓喜と涙が交錯する、運命の結果発表
午後4時半。西日が差し込む中、いよいよ結果発表と表彰式が執り行われた。ステージ前には各チームのメンバーが集結。緊張で張り詰めた空気が漂う。
まず第3位に輝いたのは、総合得点87.6ポイントを獲得した「Barbeque Pro Shop Alfred」。ピットマスターは丸太の表彰台に登り、「また3位でした(笑)。正直悔しいですが、ここに上がれてよかったです。ありがとうございます」と、悔しさを滲ませながらも笑顔を見せた。

第3位の「Barbeque Pro Shop Alfred」。
続いて第2位。総合ポイント90.8ポイントで「Afro’s BBQ」が選ばれた。「正直優勝できるかと思っていた部分はありました。スモークバーベキューに出会わせてくれたオーナーにまず感謝したいのと、お店で全力で応援してくれたお客さんたち、そして家族に感謝を伝えたいです。いつも支えてくれる人たちに感謝しています」と、周囲への深い感謝を口にした。

第2位の「Afro’s BBQ」。
そして、運命の第1位。 総合ポイント91.3ポイント。見事優勝を果たし、GOLDEN TICKETを手にしたのは「Yumaboy’s BBQ」。名前が呼ばれた瞬間、チームメンバーは抱き合い、喜びを爆発させた。ステージに登ったピットマスターは、感極まった表情でマイクを握る。

優勝チーム「Yumaboy’s BBQ」
「めちゃめちゃ嬉しいです。実は1月末にテキサスへ勉強に行き、自分のBBQと比較してひどく自信をなくした時期がありました。前回の別の大会でも順位が伸びず落ち込んでいたのですが、それでもお客さまや家族がすごく支えてくれました。特に一緒に戦ってくれた妻のあきが一番そばで支えてくれて、時には大喧嘩もしましたが、最高のプレゼントができたのではないかと思います。本当にありがとうございます!」
審査員のジェイ・クロス氏は、「8チームが一生懸命頑張って、本当に美味しかった。カンザスシティのようなBBQがどんどん日本でも広まっている」と総評。加藤悟司氏は、「アメリカの原料であるお肉にこだわり、その素材の美味しさをいかに引き出して、柔らかく風味をつけて提供できるかを見させていただいた」と語った。
また、WAGYU BOYSのメンバーであり審査員も務めた小嶋亮太氏は、「皆さんがものすごく考え、試行錯誤されたことを審査員一同感じました。点数をつける時も責任感を持ってつけさせていただきました」と、競技者への敬意を表した。
観客も共に戦う! 優勝予想で豪華景品を手にしたのは?
感動の表彰式の後は、来場者参加型の「優勝チーム予想投票」の抽選会が行われた。見事「Yumaboy’s BBQ」の優勝を的中させた投票箱の中から、WAGYU BOYSのMICRO氏が1枚の札を引き当てる。
選ばれたのは、なんとWAGYU BOYSのTシャツを着て来場していた工藤さん。
「去年も見ていて、すごく美味しそうなお料理だったので、今年もいけるんじゃないかなと思っていました。すごく成長していました!」と笑顔で語る工藤さんには、ウェーバーのポータブルグリルと豪華景品の詰め合わせが贈呈され、会場は温かい拍手に包まれた。

激闘の果てにある、BBQが繋ぐ絆
「大会が終わって、敵同士だったはずの皆さんがハグし合って泣いて、お互いを称え合っている。このBBQの文化がもっと日本に広がり、みんなが幸せになってくれればと心から思いました」
イベントの最後、RYOTA氏が語ったこの言葉が、JBBCという大会の本質を物語っていた。

火と肉に向き合い、極限まで技を磨き上げるアスリートたちの姿。そして、死力を尽くした後に生まれるノーサイドの絆。JAPAN BBQ CHAMPIONSHIP 2026は、日本のBBQが新たなフェーズへと突入したことを明確に示す、歴史的な一日となった。 見事GOLDEN TICKETを手にした「Yumaboy’s BBQ」は、世界最高峰の舞台でどのような戦いを見せてくれるのか。日本におけるフードスポーツの未来は、今、大きく燃え上がっている。

