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身近な害虫に焦点を当てる巡回型展示会「害蟲展」が東京を皮切りにスタート

「害虫」というと、あなたは何を思い浮かべるだろう。ダニ? ゴキブリ? それともハチ? 実は“虫”と書くが、ネズミなどの獣もこれに含まれるという。それを聞いた記者が、真っ先に思い出したのが20年ほど前のこと。当時、新宿区内の古い医院跡でいくつかの編集部が作業していたのだが、決まって夜7時半になると屋根裏で運動会が始まるのだ。そう、ネズミだ。近隣に飲食店が多く、そこで食料を調達する彼らが根城にしていたのがここの屋根裏だった。体調を壊す部員も出てきたため、専門業者に駆除を依頼したが、屋根裏から大量のフンが出てきたと聞いて背筋が凍った。

そんな忌み嫌われる害虫だが、実は生態系から見ると存在する理由があるという。細かい存在意義についてはここでは省くが、たとえゴキブリでも生態系にとって重要な役割を務めているわけだ。9月2日から東京・日本橋のMATERIO baseで開催がスタートした「害蟲展 season4」は、そんな害虫たちにスポットを当てた展示会。一般的に害虫として括られる生き物たちをモチーフにした絵画や造形物などの芸術作品を眺めていると、人間の都合で害虫扱いして申し訳なく思う気持ちが湧いてくるから不思議なものだ。同展は東京から大阪、長野と巡回するので、お住まいの近くならぜひ足を運んでほしい。まだ見ぬ害虫の側面が見られるはずだ。

東京会場の様子。1階には絵画作品、3階(ページ一番上の写真)には造形作品が展示されている。普段は忌み嫌われている害虫だが、作品として見ると一転して神々しく感じられるのは不思議だ。

今回の最優秀賞作は、トノサマバッタの蝗害(バッタの群生相が大量発生することで起きる「災害」)をモチーフに、集団の恐怖感と退廃的な美しさを表現した<すめらぎ>(作者:山本衣織さん)。人口密度が原因で体が変化したトノサマバッタの群生相約200匹をブラックボックス状に合体させたこの作品は、禍々しさと神々しさという相反する印象を感じさせる秀作だ。

こちらは優秀賞を受賞した<大雀蜂>(作者:井上郁さん)。害虫の中でもとくに攻撃的なことで知られるスズメバチ。その恐ろしさは亡骸になっても消えることなく、気迫を発し続ける。そんな凶暴かつ美しい姿を鋳造で表現した作品。金属の質感と化学変化による緑青の色合いが、死してもなお襲いかかるような錯覚を感じさせる。

(左から)審査員を務めた舘野 鴻さん(画家・絵本作家)、優秀賞を受賞した井上 郁さん、主催者の岡部美楠子さん(8thCAL Inc. 代表)、最優秀賞を受賞した山本衣織さん、審査員を務めた満田晴穂さん(自在置物作家)。

害虫展 season4 概要
<東京>
開催日/2023年9月2日(土)〜9月15日(金)
開催時間/10:00〜17:00
開催場所/MATERIO base
住所/東京都中央区東日本橋3-11-12

<大阪>
開催日/2023年9月20日(水)〜9月25日(月)
開催時間/10:00〜17:00
開催場所/箕面公園昆虫館
住所/大阪府箕面市箕面公園1-18

<長野>
開催日/2023年9月30日(土)〜10月9日(月)
開催時間/11:00〜18:00(予定)
開催場所/白馬村 Re:Public
住所/長野県北安曇郡白馬村大字北城7078

害虫展
https://sites.google.com/8thcal.design/exhibition/