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メタバースで生まれる新たな自由と可能性とは? 博報堂が「生活者インターフェース市場フォーラム2022」を開催

“メタバース”という単語を最近よく耳にするが、これがどんな意味をもっているのかご存じだろうか。「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語のメタバースは、コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービスを指しており、日本では主にバーチャルな商業空間をそう呼んでいるそうだ。

さる11月14日、株式会社博報堂DYホールディングスが東京・六本木で開催した「生活者インターフェース市場フォーラム2022」では、そのメタバースを主軸としたバーチャルが作り出すマーケティングやビジネスの可能性に関するディスカッションが行われた。

2019年にスタートし、今回で4回目の開催となる同フォーラム。コロナ禍の影響のためオンライン開催が続いていたが、今年はリアルとオンラインのハイブリッド開催に。まず最初に登壇した博報堂 代表取締役社長の水島正幸氏(写真上)は、来場者とオンライン参加者それぞれへの挨拶を終えた後、こう切り出した。

「こうしてリアルとオンラインとを分けて御挨拶をしておりますが、それもひょっとしたらここ数年のことかもしれません。なぜなら、メタバースの世界では、リアルとオンラインの境界が曖昧になっているからです。メタバースでは、私たちを取り巻く環境がリアルとバーチャルを融合しながら拡張してまいります」

そう、会議やイベント、ショッピングはおろか、生まれる前の時代へも訪問できるメタバースの世界では、フォーラムへの参加方法をリアルなのかオンラインなのかの選択は不要に。もうひとつの人格であるアバターがどんなバーチャル空間でも行き来して、時空を超えたあらゆる体験ができるようになるのだ。

総務省が先日発表したメタバースの世界の市場予測では、2021年に389億ドルほどだった市場は2030年には1780億ドルにまで拡大。メディアやデータエンターテインメントにとどまらず、教育小売りなどさまざまな領域での活用が期待されているという。すると、必然的に新たなサービスが業者と同時に生まれてくるはず。つまり、メタバースはこれまでになかった巨大な生活者インターフェース技術なのだ。

生活者インターフェース市場はさらに広がり、これまでとは違う生活を手に入れる新たな生活者が誕生。そして、その世界をもっと自分らしく楽しめるエンパワーメント、すなわち「生活者エンパワーメント」の提供に、博報堂は今後注力していくという。

多様な価値観と出会い、好奇心を、解き放つ
ー メタバース空間で生まれる新たなクリエイターズエコノミー

バーチャルとリアルを繋ぎ、好奇心を解き放っていく「次世代のメディア」と捉えることができるメタバース空間での生活者とクリエイティブの可能性についてをディスカッション。

(登壇者 左から)株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター 室長代理 研究開発1G グループマネージャー/チーフテクノロジスト 木下陽介氏、ティフォン株式会社 CEO/CCO 深澤 研氏、株式会社小学館 ユニバーサルメディア事業局 チーフプロデューサー/XR 事業推進室 室長 嶋野智紀氏、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 XR 広告事業開発『arrova』プロジェクトリーダー 荒井浩介氏。

株式会社小学館で『Cancam』や『AneCan』など女性ファッション誌の編集長を歴任し、現在はユニバーサルメディア事業局チーフプロデューサーとXR事業推進室室長を務める嶋野智紀氏は「小学館のメタバース『S-PACE(スペース)』は、特別なアプリのダウンロードやヘッドマウントディスプレイが必要なく、スマートフォンやタブレット、パソコンですぐそのまま体験可能です。メタバース空間の入り口として、できるだけたくさんの人にハードル低く味わってほしいと願い、まだ機能的に制限されたβ版の形ながら8月に一般公開しました。インターネット空間であることからデザインはグローバルな展開を考えて、海外にもファンの多い日本のコミック調を基準に空間を設計しています。年内には同時アクセス接続ができるようになって大人数でひとつの空間の共有が可能に、またチャットシステムも取り入れ、ユーザー同士のコミュニケーションをとるための機能も搭載します」とS-PACEの概要と今後の展開を教えてくれた。


そして、なりたい自分へ
ー フォトリアルアバターの可能性と未来

“一人いちアバター時代”が到来時、身体データそのものとも捉えることができるフォトリアルアバターは生活者に何をもたらすのか、アバターの領域を超えた可能性についてのディスカッション。

(登壇者 左から)株式会社博報堂 エクスペリエンスプラナー 中島優人氏、東京大学大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 准教授 鳴海拓志氏、株式会社VRC 代表取締役社長 謝 英弟氏。

東京大学大学院でメタバースの研究を行っている鳴海拓志氏は、「メタバースには自分以外の別人や動物などになる変身と、服装や体系を変えた自分を並べるなどの分身があります。例えば自分そっくりなアバターが熱心に運動している姿を見ると、自分もがんばろうと思う効果(バーチャルドッペルゲンガ―と行動変容)があったり、筋肉質のアバターに変身してダンベルを持ち上げると軽く感じる効果(プロテウス効果)があります」と教えてくれた。

「リアル」を拡張する
ー フィジカルとデジタルの融合がもたらす新たなコミュニケーション体験

フィジカル(実空間)とデジタル(メタバース)の融合によって誕生するSpatial Web(実空間ウェブ)が生活者にもたらす価値についてをディスカッション。

(登壇者 左から)株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター 研究開発1グループ 上席研究員/テクノロジスト 目黒慎吾氏、Snap Inc. 日本代表 長谷川倫也氏、株式会社MESON 代表取締役CEO 小林佑樹氏。

Snap Inc. 日本代表の長谷川倫也氏は、「今や店舗に行かなくてもバーチャルに洋服やコスメの体験ができるようになってきた。いつでもどこでも、気兼ねなく体験してから購入できるというのは消費者にとって大きな意味がある」と語った。

フォーラム来場者は、会場に入場する前に3Dスキャナーで自分の体をスキャン。

わずか数十秒で「じぶんアバター」が誕生。

フォーラム閉会前に、来場者の「じぶんアバター」がメタバース空間上の渋谷スクランブル交差点で一斉にダンスを踊り出した!

博報堂
hakuhodo.co.jp/