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極上ラムチョップから日韓コラボ・本格アイリッシュまで ―― 日本最大級の羊の祭典「羊フェスタ2026」に見る「羊食」最前線

世界最古の家畜にして現代のスーパーミート ―― いま、なぜ羊肉なのか

古くから人類とともに歩んできた羊肉。「世界最古の家畜」と呼ばれ、その歴史は悠久の時を刻む。宗教的な禁忌がなく、世界中の人々が同じテーブルを囲んで味わえるグローバルな食文化の象徴。衣食住のあらゆるシーンで恩恵をもたらし、捨てる部位が一切ないサステナブルな家畜としても知られる。

さらに注目すべきはその圧倒的な栄養価。鉄分は鶏肉の約4倍、豚肉の約2倍。高タンパクかつヘルシーで、現代の健康志向にも完璧に合致する「食べる理由がある赤身肉」として老若男女から熱い支持を集めている。

そんな羊肉の限りない魅力を五感で体感できる祭典「羊フェスタ2026」が2026年11月7日(土)・8日(日)の2日間、中野セントラルパーク(ウッドデッキエリア/なかのアンテナストリート)にて開催された。

2014年の初開催から数えて12年。コロナ禍による1年の中断を経て、今年で11回目を迎えた。来たる2027年の「ひつじ年」を目前に、新たな食文化「羊食(ようしょく)」の発信地となった熱狂の現場へ足を運んだ。

「来れば日本の羊の今がわかる!」中野に集結した国内最大級のカルチャーフェス

掲げられたテーマは「来れば日本の羊の今がわかる!」。2014年から続く本イベントは、単なるフードフェスにとどまらない。多彩な羊肉料理はもちろんのこと、羊毛やクラフト、体験型コンテンツに至るまで、羊を取り巻く多様な魅力を包括した日本最大級の羊イベント。「消費者主導による羊肉の文化祭」として独自の進化を遂げてきた。

その熱狂ぶりは数字にも如実に表れている。前年の開催では、2日間で計3.6万人ものファンが来場。消費された羊肉の総量はなんと1,750kg(=1.75トン!)に達した。

この圧倒的なムーブメントを力強く後押しするのが、日本国内の羊肉シェア約7割を占めるオフィシャルパートナー「ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア(MLA)」。12年に一度の2027年「ひつじ年」を見据え、羊肉をより身近に楽しむ新たな食文化を「羊食(ようしょく)」と命名し、オージー・ラムの魅力と食の可能性を全国へ力強く発信し続けている。

昼過ぎには早くも完売御礼!? 個性豊かな羊肉グルメを食べ尽くす

会場のウッドデッキエリアには、全国津々浦々から人気羊肉料理店や関連団体が集結。会場一帯に漂う香ばしい煙とスパイスの香りに、訪れた肉好きたちの足取りも弾む。

その盛況ぶりは凄まじく、編集部が足を運んだ初日の昼過ぎには、すでに長蛇の列とともに「完売」の札を掲げるブースが出るほどの白熱ぶり。そんな会場で選びに選んで実食した、至極の5品をレポートする。

◆LAMBASSADOR(ラムバサダー)

まず向かったのは「LAMBASSADOR(ラムバサダー)」のブース。オーストラリア羊肉生産者団体であるMLAが、日本市場で羊肉需要をさらに盛り上げるべく任命した食のプロフェッショナル集団。様々なジャンルのトップシェフや食の専門家たちが、SNSやワークショップを通じてオージー・ラムの真価を全国へ伝えている。

さらに今回は、羊フェスタ史上初となる韓国のラムバサダーを務めるシェフ2名が海を越えて電撃参戦。日韓のプロがタッグを組む豪華な布陣に、ブース前はひときわ熱い視線を集めていた。

ここで味わった1品目は、羊フェスタの代名詞ともいえる「ラムチョップ」(税込1,500円)。

豪快に焼き上げられた大ぶりのオーストラリア産ラムチョップ。ラムバサダー特製のタレを纏った肉塊にかぶりつくと、驚くほど柔らかく、溢れ出すジューシーな肉汁と濃厚な旨味。脂のしつこさは一切なく、ラム本来のピュアな味わいが口いっぱいに広がる王道の逸品。骨までしゃぶり尽くしたくなる旨さ。

続いて2品目は、韓国から来日したシェフたちが腕を振るう「韓国ラムバサダー特製 ソウル風ラムプルコギ」(税込1,000円)。オージー・ラムとたっぷりの野菜を、韓国風の特製醤油だれに漬け込んで鉄板で香ばしく炒め上げた限定メニューだ。

甘辛いタレの奥深いコクがラム肉の柔らかな赤身に染み渡り、炒めた野菜のシャキシャキ感と抜群の調和。日本のジンギスカンとはまた異なる、韓国流の羊肉アプローチに思わず唸る。

◆北海道遺産ジンギスカン応援隊

続いて足を止めたのは「北海道遺産ジンギスカン応援隊」のブース。北海道遺産でありソウルフードでもあるジンギスカン文化を広め、その歴史や地域ごとの食べ方を次世代へと継承すべく活動する団体だ。

注文したのは、「HEY MEAT 厚切りマトンジンギスカンといまじん 塩ネギ油タンの食べ比べセット」(税込1,200円)。「味付ジンギスカングランプリ2025」で見事グランプリの栄冠に輝いた「HEY MEAT」の厚切りマトンジンギスカンと、リピーターが絶えない希少部位「いまじん」の塩ネギ油タンが一皿になった贅沢なセットだ。

噛むほどにマトン特有の深いコクと旨味が押し寄せる厚切り肉。一方の塩ネギ油タンは、心地よいコリコリとした歯ごたえとネギ油の香ばしさがクセになる絶妙な仕上がり。ラムとは異なる羊肉の奥深さと多様性をまざまざと見せつけられる一皿。

◆羊のロッヂ

3軒目は、キッチンカーで出店していた「羊のロッヂ」。東京・西早稲田で10年目を迎え、高田馬場には姉妹店「隣のロッヂ」を展開する実力派ラム肉専門店。羊フェスタへは3回目の出店となる。

オーダーしたのは、2026年度「新宿逸品」にも選出された看板メニューを丼に仕立てた「ラムパクチー丼」(税込1,200円)。ふっくら炊き立ての白米の上に、柔らかくソテーされたラム肉が敷き詰められ、その上を覆い尽くす鮮やかなフレッシュパクチー。特製のタレが絡んだラム肉の旨味に、パクチーの清涼感が鮮烈なアクセントを加える。タレの染みたご飯とともに豪快にかき込めば、羊肉とハーブが見事に溶け合う至福の瞬間。箸が止まらない。

◆Seamus O’Hara Irish Pub(シェイマス オハラ アイリッシュパブ)

最後に訪れたのは、品川区武蔵小山に店を構える本格アイリッシュパブ「Seamus O’Hara Irish Pub」。本場アイルランドの空気感と本格的なパブ料理を届ける人気店だ。

ここで注文したのが、アイルランドの伝統的な家庭料理「シェパーズパイ」(税込1,200円)。敷き詰められたラムひき肉のミートソースの上に、きめ細かくクリーミーに仕上げられたマッシュポテトを重ね合わせた一品。スプーンを入れると、しっとりとなめらかなポテトの優しい口当たりとともに、じっくり煮込まれたラムひき肉の芳醇なコクとハーブの香りがふわりと広がる。素朴でありながら奥深い、心温まる味わい。

そして、このシェパーズパイのお供に選んだのが、アイルランドを代表する「樽生ギネスビール」。羊肉料理との相性は言わずもがな抜群。クリーミーできめ細やかな泡、ロースト麦芽のほろ苦さが、ラムひき肉の重厚な旨味をすっきりと包み込み、最高の余韻をもたらしてくれる。

「羊食」が日本の日常になる日 ―― 2027年「ひつじ年」へ広がる無限の可能性

かつて一部で囁かれた「羊肉はクセが強く、扱いが難しい」という固定観念は、もはや過去のもの。素材の良さをストレートに味わう王道のグリルから、アジアのエッセンスが光るプルコギやパクチー丼、さらにはヨーロッパの伝統的なパブフードまで。縦横無尽に姿を変える羊肉のポテンシャルを、改めて見せつけられた2日間。

会場を見渡せば、家族連れから若者、長年の羊肉ファンまで、誰もが笑顔でラムやマトンを頬張る姿。この熱気こそ、日本における羊肉文化が新たなフェーズに突入した何よりの証左。

来る2027年は、12年に一度巡り来る「ひつじ年」。特別な日のごちそうとして、あるいは日々の食卓を彩るヘルシーな赤身肉として。日本独自の「羊食」カルチャーが日常の風景として根付いていく未来に、大きな期待を抱かずにはいられない。